学校経営のポイント
 学校経営のむずかしさは、テンポの早い社会の変化(特に情報化と、それに伴う価値観の多様化)によって、ますますむずかしくなってきている。 ここでは、一般的に言われる経営のポイントでなく、日常を見て、具体的にどうするか、「学校スリム化」の問題ともからめたポイントをあげてみた。 
   経営のポイント
  @ 情報をいち早く、いかに正確にキャッチするのか。
  A お金(予算)をいかに有効に活用するのか。
  B 時間をいかに有効に生み出すのか。
  C ものをいかに整備・充実していくのか。
  D 組織をいかに柔軟に、しかも有機的に活動させるのか。
  E 教員の資質をいかに向上させていくのか。
  F 危機管理体制をどのように確立していくのか。
  G 管理職自らどのように未来への夢・理念をもち、行動するのか。 
1 情報をいち早く、いかに正確にキャッチするのか。‥‥自分の足で、多方面から
  ○「報告・連絡・相談」を各主任に、強く義務づける。
  ○子供との接点を自らつくり、子供の意識を把握する。
  ○保護者の意見には、まず耳を傾ける。
                         【されど情報をすぐに鵜呑みにするな。】
2 お金(予算)をいかに有効に活用するのか。‥‥「汗」が金を生む
  ○少ないお金を職員に任せたら無駄遣いばかり、職員には最低のお金でよい。
     ※長期計画をもって、管理職が執行する。
  ○職員が、夢をもって遣いたいお金は、何をおいても応援する。(夢は高く買う)
  ○購入にあたっては見積りを取り、その結果、必ずしも安い方から買う必要はない。
     多少の差なら、普段のサービスのよい業者から購入する。(業者を大切にする)
  ○「汗」を流せば自分たちでできることにお金をかけない。
     何年かすれば、物も充実し、自分たちが汗を流さなくてもよくなるはず。
                          【夢のない職員には金を出すな】
3 時間をいかに有効に生み出すか。‥‥学校での最大の課題
  ○諸会議を統合する。かっての職員会の議題が独立して、小委員会が多くなりすぎている。
     30人ぐらいの職員規模の学校だったら、何でも全員会議つまり、職員会で話し合う。
  ○「予定」を変更しない。特に校長の予定で変更しない。校長がいなくても予定どおり行える
    体制をつくっておく。
  ○提案時間を短く要領よく行う。書いてあることは、できるだけ説明しなくてよい。
  ○はじめと終わりを守る。これは、授業も同じ。
  ○物を探したり、移動するのに時間と人手がかからないようにする。例えば、キャスターを
    つけ、一人で安全に運べるようにする。
                           【「忙しい」が口癖の職員の言葉を聞くな】
4 ものをいかに整備・充実していくのか。‥‥「片づけ」のしつけを徹底する
  ○在庫管理を徹底的に行う。学校は眠っているものが多い。
  ○必要量を把握する。そのためにも、その場に必要なものは、その場用として買う。
    はじめはお金がかかるが、何年かすれば、驚くほど充実する。
  ○不要品は、新品購入時に業者に引き取ってもらう。(有料でも)
                         【物を粗末に扱うのは、生徒でなく職員】 
5 組織をいかに柔軟に、しかも有機的に活動させるか。‥‥双方から「のりしろ」を
  ○学校では、組織を細かくすることばかりがよいわけではない。
  ○いろいろな係を、いろいろ経験させる。「毎年、A先生はこの係」では、人は育たず
    広く、学校組織を理解し合えない。
  ○組織は、双方からの「のりしろ」で動くことを徹底的に理解させる。
                             【職員も校内でボランティアを】、
6 教員の資質をいかに向上させていくのか。‥‥適度なプレッシャーを
  ○職員の生涯ライフサイクルを考えて適時に研修させよ。
  ○No2を育てよ。No1がいるうちに育てよ。専任ばかを育てない。
  ○「感性」を磨かせよ。浅くてよい、何でも広く体験させる。感性は文化で磨かれる。
    本物に触れさせよ。
  ○「授業研究」には、手をゆるめるな。子供は、最後に、授業でその先生を納得する。
                           【授業を指導できるリーダーになれ】
7 危機管理体制をどのように確立していくのか。‥‥「出勤簿」の押印からはじまる
  ○大きな事故の前には、小さな事故が多発しているはず。(ハインリッヒの法則)
  ○真実を見極めよ。場合によっては、報告の逆も考えてみる。
  ○「あとで」「明日」なんて考えず、その日のうちに対応する。
  ○起きたことに丁寧に対応することが、保護者・子供の信頼が増す。
  ○関係機関への報告を忘れるな。
  ○事故が起きたら、冷静に見る人間を、すぐに指名してそばにおく。
                                   【「ピンチをチャンス」に変える】
8 管理職自らどのように未来への夢・理念をもち、行動するのか。‥‥勉強せよ
  ○金、物、人事が校長にはままらない。あとは理念・ビジョンをしっかりするしかない。
  ○人まねをするな。でも、「これは絶対よい」ということは、躊躇せず取り入れる。
  ○失敗とおもったら、撤退する勇気をもて
  学校は、社会の変化を敏感にとらえ、保護者・地域社会と密接に関連をもちながら
 教育を進めなければならないが、
  されど、学校は、社会・地域と隔絶して教育を行う所でもある。 
 この相反する命題を、どう具体的に実現していくのかが、「学校教育」の役割なのではないか。