「いい子」と「いい奴」 (平成9年度「学校だより」から)
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寒さが一段と厳しくなりました。本年もあとわずかとなり、何かと気ぜわしい毎日です。 学校では、冬休みを前に、保護者懇談が行われ、日頃の子供のあらわれ、成長したこと、努力を要することを話し合いました。通信表を前にしての懇談ですから、どうしても学習成績の数字の方に目がいきがちですが、子供たちは、果たしてどのくらい人間として成長したのでしょうか。通信表だけでは、なかなか具体的には見つけられせん。 「あなたは、どのくらい思いやりのある子に成長しましたか。」と、ぜひ、お子さんに、話しかけてみてください。 人として一番大事なものを学んでいなかったらたいへんです。 |
我が家の3人の大学生、2人は遠く異郷の地で生活しており、末娘は家から大学に通っているものの、親とはぼとんど生活が同じではなくなっています。もうすぐ3人とも、親を置いて船出していく。「一緒にいるとき、もっとこう育てておけば」と、後悔することがたくさんあります。今、願うことは、どの地でもよい・よき友人に出会い・健康で人生を生きてほしいということです。人生、成功することよりも、むしろうまくいかないことの方が多い。 |
失敗、無念な思い、それらを救ってくれるのは、友である。利害打算のない青少年時代の友には、そうした心の友が多い。夫婦も「つれあい」であるが、友もまた、人生の「つれあい」である。親にはできないことを、「つれあい」とともに学んでほしい。 「あなたは、つれあいが何人いますか。」と、お子さんに聞いてみてください。 |
こんな話を聞きました。ある先生が、「いい子」と「いい奴(やつ)」は違うと言う。 「いい子」は、親や教師の言うことをよく聞き、従順で、普通に言うよい子だが、「いい奴」というのは、頼りがい・気概のある子だという。勇気というものさしではかると、「いい子」には勇気が乏しく、「いい奴」は勇気がある。「いい奴」は、よいと思ったことは、他人の思惑にためらうことなく、積極的に実行していくという。悪いことをしない「いい子」より、進んでよいことをする「いい奴」の方が、人間としてすぐれている、と言うのです。正しいと思っても実行しなければ何もならない。しかし、世の中にはすぐに暴力に訴える危険な人間もいるから危険は予知しなけれぱならない。ところが、あまり危険もないのに、傍観している人が多くなったのは残念です。 「あなたは、自分の友人に対していい子ですか、それともいい奴ですか。」と…。 |
本年も、保護者・地域の方々には、いろいろとご協力いただき、ありがとうございまし た。寅年の来年、子どもたちが一層たくましく育ち、楽しく学べる学校づくりに、職員一 同努力いたします。皆様もよいお年をお迎えください。 |