富士総合火力演習 SP FILE No,39



  戦車の主砲から砲弾が撃たれると、観客スタンドが揺れる。次第に爆音に慣れてくる。火薬が火を噴く度、シートに座っていても重低音の波動で体がのけ反りそうになる。撃ち出された砲弾は放送で流れるカウント通りに弾着し、的に命中する。その正確さ、熟練された技術の精度には目を見張るものがある。その迫力に興奮して、立ち上がったて観ようとした子供達は、その勇ましさに目を光らせていた。ホバリングしている輸送ヘリから空挺団の降下、輸送ヘリが着陸して、その機体内部から偵察隊のバイク、機関銃を取付けた車両が次々と、飛び出してくる。
 理屈抜きでカッコイイと思う。命を掛けて国民を守っている人たちが、その成果を我々に演習という形で観せているのだから当然だ。
 第一師団、首都圏を守る組織。陸上自衛隊富士総合火力演習。日本最大の演習を観た時の正直な感想だ。

 2015年、集団的自衛権の論争が、国会で繰り広げられていた。民主党や他野党は、「徴兵制度復活」、「戦争法案」などと、日本国民を先の大東亜戦争になぞって、煽っている。あまりこのニュースに関心のない若い世代や、子を持つ母親は、この言葉のみに反応し、集団的自衛権は漠然と「悪」と決め付けている人々も出てきた。議論が少しづつ、枝の方へ流れていく。主体性のない議論に舵をきり、その危険な言葉だけを、国民の意識の中に植え付けそうとし、反対派を増やし、票だけを欲しがる。野党の無責任な姿勢に、読売新聞がキッパリと、「国民を恐怖で煽るな」と紙面で指摘した。記事を読んで痛快だった。

 この富士総合火力演習を一度でも観た人は、「徴兵制度なんてありえる訳が無い」とすぐにわかる。今の陸海空自衛隊は、ハイテク機器だらけだからだ。ミサイル一発に至ってもすべてハイテク兵器である。そのハイテク兵器を的に当てる精度をマスターするには、数年掛かる。いや、熟練した自衛官になるには数十年、時間を要するだろう。それを徴兵制度で入隊した新隊員が、1、2年位で訓練し、操れる程、自衛隊のハイテク機器は甘くはない。使えない自衛官はむしろ邪魔である。OBや公募の予備自衛官でその役割は十分だ。自衛隊の隊員数より、周辺諸国の兵隊の数が正直多いと思う。しかし、旧日本軍の人海戦術で、下手な鉄砲数の内当たるも、普通科の隊員にしたら、敵の前を新米がウロウロして、ただ邪魔なだけで敵に向かって射撃も満足に、出来やしない。先にも述べたハイテク機器を扱える自衛隊だからこそ、少ない人数で、高い精度の戦闘が出来て、無駄に自衛官を減らさない。その上で、日本を侵略から守れるのだ。「徴兵制度復活」などと、唱えている政党は全く現状を理解していないし、いたずらに国会の議論を長引かせ、米軍を始めとする連合国との信頼関係を脅かしているだけである。


























































































































































































































     






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