長万部岳登山記 ( 2003年8月1日)

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山のブナ林を見に、連れ合いと一緒に長万部岳に行ってみました。朝起きて、空を見上げ、薄曇りながら雨は降りそうにない、と判断。急遽、登山決行となりました。大慌てで、準備しました。

黒松内町から、国道5号を長万部町に向かって南下。双葉(ふたば)という集落の手前から、道道を右折します。「二股らじうむ温泉」という看板があるので、間違うことはないでしょう。そのまま、内陸に向かって走り続けると、一部車線が狭くなる場所があります。通行には、注意が必要。細くて曲がりくねった道です。らじうむ温泉の入り口を通り過ぎ、直進すると、林道に突き当たります。「長万部岳登山口」の表示板があります。

車を4WDに切り替えて、砂利道を数分走ると「車止めの柵」に着きます。ここは、車を2,3台駐車できるスペースがあります。駐車場として整備されていませんので、車の駐車と移動には気を付けましょう。ここからは、自分で歩きます。登山口まで約2kmあります。道は良いコンディションなのに、何故車を入れないのか??

   ここから徒歩となります。

(11:25) 出発。本当の登山口ではないし、ダラダラ歩かされるので、イマイチ気持ちがのってきませんね。しばらく、トドマツの人工林が続きます。この季節、エゾアジサイが満開です。大きな群落を作っています。一見の価値あり。しばらく、見とれてしまいます。その他、オニシモツケ、ヤマブキショウマ、ヨツバヒヨドリが目立ちます。

トリアシショウマも綺麗。大型のものでは、オオイタドリ、ヨブスマソウ、チシマアザミがあります。ヨブスマソウは、イタドリより大きく成長していて、驚きました。ウドも多い。ツルアジサイ、ノリウツギの白い花は、やや暗い山道を明るくしてくれています。カラマツ、シラカバ、ホオノキ、クリ、ヤマブドウ、オオカメノキも見られます。1kmも歩くと、ここがブナの森であることが分かります。道筋、斜面に美しい樹肌が特徴的です。

エゾイラクサ、ヒメジョオン、オオウバユリ、ミヤマニガウリ、シソ科の植物が林道上と脇で成育しています。

 エゾアジサイ、今年はひときわ美しい。

(12:08) 登山口に到着。約40分も歩きました。汗はかいたが、体に力が入らない。
 
 

  
上は、登山口の表示板。この右手が、山への道です。下は、長万部町の山岳会が管理する「うすゆき荘」。登山口では、オオイタドリ、ヤナギ類、イタヤカエテ゜、シラカバが鬱そうと茂っています。オニシモツケが沢山あり。アマチャヅル、エゾニュウも。二人で昼食。おにぎり二個とチーズ、チョコレート。水を補給。

(12:35) 登山開始。 非常に良好な道です。かつて鉱山があって、作業用の道路として使われていたようです。車が入れそうです。歩き始めると、すぐにブナ林になります。かなり太い樹が見られ、あちこちで幼樹が育っています。元気のある森です。ここら辺りから、ヨッシャという気分になってきます。オニシモツケ、ヤマブキショウマ、ウドが大きな群落を作っています。濃い緑のなかでは、とても映えますね。エゾアジサイも、美しい。

(12:46) 一合目を通過。
(12:54) 二合目を通過。ブナの若木が斜面や沢筋に観察できます。綺麗な山です。ミネカエデが頭の上に枝を延ばしています。ノリウツギ、ヨツバヒヨドリ、トリアシショウマ、ヤマハハコ。ラン科のオオヤマサギソウも。

(13:05) 三合目通過。ヨブスマソウ、アズマナルコ、ヤマハッカ、ミヤマハコベ、クルマユリ。

 葉に特徴あり。可愛らしい花のクルマユリです。

(13:20) 四合目通過。
(13:26) 五合目(鉱山跡地)に到着。地面をブルトーザーで平らにし、休息用のテーブルと椅子があります。壊れていましたが。ここで、小休止。水を飲み、開けた山の風景を楽しみます。この位置から、目指す長万部岳のピークが見えます。まだまだ先がある。アブラガヤ、ヨツバヒヨドリ、ヤマブキショウマが群落を作っています。

  
左、ピークを望む。右、ヤマブキショウマの群落。白が眩しい。

(13:31) 五合目を出発。ここからは、普通の山道に変わります。道幅は急に狭くなるし、足元も悪い。緊張感を高め、一度気分を変えた方が良いでしょう。すぐに、岩場になります。一見不安のない道のようですが、滑りやすいです。私も、思わず転びそうになりました。湿気の多い場所が続きます。

樹影の涼やかなブナを見ながらのコース。山の中心部に入ってきたことを実感します。しかし、じょじょにダケカンバの姿が増えてきます。高度が上がっています。花期の終わりのギンリョウソウがありました。ツルアジサイ、ハナヒリノキ、ヤマブキショウマなど。ツバメオモト(ユリ科)が実をつけています。うすく透き通るような紫色です。

 端正、美男美女のブナが多い。

(13:50) 六合目を通過。ダケカンバの大木が目立つようになる。ブナ、カンバの混交林という様相になる。チシマザサが、登山道の両脇を繁茂して固めています。ホウチャクソウ、ツクバネソウ、マイヅルソウなど、春の花を見かけます。エゾボウフウが白い花を付け、ミヤマキヌタソウ(たぶん?)も少々咲いている。

(14:07) 七合目に到着。水の補給、一休み。チシマザサのトンネルをくぐる。足元は、しばらく岩場。ナナカマド、オオカメノキ、ハナニガナを見る。途中、非常に眺望の開ける場所があります。暗くて狭い山道を抜けた後なので、一瞬ほっとする。ここからも、ピークを望むことができます。だいぶ、近づいた。平坦な道を歩く。両側は、相変わらずチシマザサ。ここで、ウグイスの鳴き声を聞きました。我々だけじゃないのを確認して、気持ちが和らぎます。周りに、ブナの姿はほとんど見えなくなる。サンカヨウが実を付けている。エゾユズリハを見かけました。

  チシマザサのトンネル。

(14:24) 八合目を通過。ここからは、ダケカンバ主体の森になります。ナナカマド、ミネカエデも目立ちます。高山性の植物と低山・平地のものが混じっています。ツバメオモトの実、マイヅルソウ、ヤマブキショウマ、ヨツバヒヨドリ、ミヤマオダマキ(?)、ハナヒリノキ、シロバナニガナ、 トモエソウ、コガネギクなどなど。ミミコウモリ(つぼみ)とヤマブキショウマが群落を作っています。エゾシオガマが急に出現、高山帯に入ったことが分かります。

 枝の姿が綺麗なダケカンバ。

(14:53) 九合目に着、一息ついて通過。ピークは目の前、手の届きそうな場所。斜面は、角度を鋭くして足元も悪くなります。若干ですが、ガレ場のような所もあります。頂上を前にして、もう一度気合いを入れ直し。ピークから切り落としたような斜面には、ゼンテイカが広範な群落を作っています。見事、見事!! 高山性のものでは、エゾシオガマ、 コガネギク、トモエソウ、ホツツジ、アカモノなど。ヨツバヒヨドリ、シロバナニガナ、ハナニガナも綺麗です。ツバメオモト、エゾボウフウ、オオヤマサギソウも。ツルアジサイがダケカンバによじ登って咲いています。ピーク直前には、 やはりハイマツが登場します。冬は、寒いのだろうな。

 ゴマノハグサ科のエゾシオガマ。

(15:20) ついに登頂。標高972.4m。さほどの高さではないが、360度のパノラマは素晴らしい。来て良かった。日本海の寿都湾が見える、太平洋側も望める。正面には、羊蹄山がくっきりと姿を見せている。絶景、絶景!!

頂上にもいろいろな花が咲いています。ツルリンドウがいました。エゾシオガマ、ヨツバヒヨドリ、コガネギク、チシマアザミなどは、まったく寒さを気にしないようです。マイヅルソウも棲んでいます。ナナカマド、ダケカンバ、ハイマツは、こういう場所が得意です。植物の強さには、頭が下がります。

(15:37) 下山開始。
(17:30) 登山口にやっと到着。空気が冷たくなってきました。