北限のブナ林・季節の情報 (2000年)
   

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2000.12.22
黒松内町・歌才
クリスマス直前の、森の様子です。初雪は早かったのに、現在の積雪は予想外に少ないのです。50cm以内、と思われます。散策路がどこにあるか分かる程度です。カンジキが深く沈まないので、とても歩きやすい状態です。でも、明日から北海道は天気が荒れるそうですので、場合によっては積雪が一気に増すかもしれません。

積雪が少ないので、この時期でもササがあちこちに頭を出しています。ササの緑が、雪の白とコントラストを盛り上げ、「美しいなー」と感じさせてくれます。ツルアジサイの花も綺麗です。と言っても、ドライフラワーですけれど。ブナの木に巻き付いて、ずっと空に近いところに、その形を夏のままに見せてくれています(色は違いますが)。

雪の上には、緑のササ、樹上から落ちたドライフラワーのツルアジサイ、濃い茶のブナの葉、それらが点々と配置されていて、森の中がデコレーションされたみたいです。クリスマスが近いので、森の神様が飾り付けをしたのでしょうか? 今の内なら、歩きやすく、まだまだいろいろな色彩を楽しめます。ひどい荒天、吹雪でない限り、クリスマスイブにはブナの森を歩くのも趣向の一つような気がします。

鳥たちも、あちこちでさえずっています。ブナの葉が落ちて、枝枝が青空にすっきり抜けて、彼らの姿を肉眼でも見られます。野鳥観察にも、都合の良い季節ではないでしょうか。


  2000.11.19
黒松内町・歌才
森に、本格的な雪が降りました。一昨日から冷え込みが厳しくなり、昨日は雪が降り始めました。そして、今朝は道路も畑も、真っ白になっていました。10日ほど前から雪は降っていましたが、積るほども無く、昼間の太陽ですぐに融けていました。今日の雪は本物です。森の中に入ってみると、約8cmの積雪でした。

森の入り口から、キツネの足跡が転々と続いていました。散策路に沿って、今朝方一匹のキツネくんが、里に降りたようです。足跡を見ながら歩いていくと、キツネの行動が分かるのが面白いのです。フッと立ち止まったり、後ろを振り返るようにグルリと一回転したり、何かに気を取られたように横道にそれたり。キツネの気持ちになって、森の中を見渡してみました。雪があると、動物の動きが理解できて、なかなか楽しいものです。

雪が降ったとは言え、まだ散策路を歩けます。冬用の長靴を用意して下さい。トレッキングシューズでは雪には勝てません。11月いっぱいは、よほどの大雪にならない限り、長靴だけで歩けるでしょう。12月には、ドンドン積雪が増していきますので、短めのスノーシューかカンジキを用意して下さい。私は、軽くて小さくてメテナンスも簡単なカンジキを愛用しています。久しぶりに雪を踏む感触が、とても心地良かったのです。

ブナは、まだ葉が落ちきっていません。葉の色は、濃い茶色です。そこに新雪がふわりと乗って、初冬にしか見られない優しい色のコントラストです。ササにも雪がかぶって、深い緑と白のコントラストが綺麗です。晩秋よりも今の季節の方が、雪の白が重なって、華やかな感じがします。本格的な冬を前にした、一瞬の美しさでしょう。「寒い」と思う方も、是非この季節の森も楽しんでみて下さい。意外と歩き易く、爽やかな風を楽しめます。


2000.10.22
黒松内町・歌才 & 島牧村・賀老高原
とり急ぎのお知らせです。賀老高原のブナ林は、今年最高の黄葉です。前回予測したとおりの変化です。ブナの葉は、ほぼ全体が見事に爽やかな黄色になりました。ブナが輝くと言われる一瞬がありますが、今日はまさにそんな印象でした。秋の柔らかな光が葉に当たると、森の中は黄金色になります。

一方歌才では、緑がスカッと抜けきらないのです。何となく薄い緑が残り、目を見張るような、ハッとする色ではありません。ただ、散策路の終点近くは、比較的良く黄葉が進んでいます。足下がズルズルして悪いのですが、来られた方は是非奥まで行ってみて下さい。来て良かった、と思えるはずです。

賀老高原では、あと3日ぐらいが見頃でしょう。今週末には、たぶん落葉が進んでいると予測しています。歌才は、このまま葉が落ちなければ、月末まで黄葉を楽しめるかもしれません。天気次第だと思います。


2000.10.19
黒松内町・歌才
昨日の底冷え、強風、雪が嘘のような秋晴れです。本来の季節に、戻ったようです。歌才のブナ林は、秋なのですが、紅葉というにはもの足りないです。前回(2日)と比べても、あまり大きな変化がないのです。ブナの葉から、葉緑素の緑がなかなか抜けていきません。そんな時に、強い風が吹いたので、黄葉を始めたものと一緒にまだ緑の葉も落葉していました。あと1週間が、ヤマでしょう。それ以後は、バタバタと葉が落ちると思います。

ハウチワカエデやヤマモミジは、例年なら鮮やかな赤になっているのに、くすんだ赤です。森の中全体は、黄色い光が満ちているのに、中途半端で勢いが感じられません。残念です。気候が悪かった、と割り切るしかないようです。その代わり、散策路の周りには色んな植物があって、十分秋を楽しめます。ツルリンドウの赤い実が、とても輝いて見えました。赤や黒の美しい実がありますので、じっくり林床を眺めてみて下さい。

森林管理局の方が、ササ刈りをしていました。今頃どうしたのだろうかと聞いてみると、黒松内町外からブナ林を訪れた人から、「散策路のササを刈らないと、マスコミに言う」との苦情があったとのこと。管理局の方は、「出来るだけ自然のままにしておきたいのだが」と言っていました。私も、同感です。歩くのに困難を感じるほどの状態ではなかったし、道ははっきり分かります。自然の山ですので、都会の道を歩くのとは違うことを理解してもらいたいものです。ササをこいで歩くのを楽しむ、ぐらいの気持ちになってみてはどうでしょう。


2000.10.13
島牧村・賀老高原
高原の森は、冷え込みが急です。狩場山の頂上は、うっすらと冠雪していました。たぶん、今年の初雪でしょう。九月の暑さが嘘のように、冷たい空気が森の中を満たしています。ブナ林では、ミネカエデの黄葉、ヤマモミジの紅葉、ナナカマドの紅葉と真っ赤な実、そんな色がいっぱいです。森全体が、黄色味を増し、秋の頂点にまっすぐ向かっています。今年も、美しい秋の森を楽しめそうです。

ブナたちは、高いところの葉から、黄葉を始めています。全体としては、緑が抜けるにはもう少し時間がかかるようです。この冷え込みが続けば、20日から25日あたりが、ブナの葉が金色に輝く瞬間を見られるのでは、と予想しています。見所としてお薦めは、ブナ遺伝資源保存林へ行く途中、千走川に架かる吊り橋からの眺めでしょう。河床は岩が露出しており、そこを豊かな水がとうとうと流れています。川の両岸は、切り立った崖。そこにはブナが原生の姿でしっかり根を下ろしています。ブナの黄葉と白く激しい流れのコントラスト、見事です。

ブナの実が、たくさん落ちていました。今年は、予想通り豊作のようです。口に入れて、数回ゆっくり噛んでみると、甘い甘い。先月食べたときは、まだ実りきっていなかったようです。リスたちも、安心してこの冬を迎えられるでしょう。ブナの実は、林床に落ちると土の色に混じって、とても見つけずらいものです。新しい殻斗を探して、その周りをジーと見つめて下さい。3、4個の実が、かたまって落ちているのが分かるはずです。

これから高原を訪れる方は、寒さに耐えられる服装にして下さい。ちょっと、と思って入林すると風邪をひいたり、体調を崩す恐れがあります。雨が降ったあとは、足下が悪い場所もあります。ご注意下さい。


2000.10.02
黒松内町・歌才
今日は、朝から不安定な天気で、午後からは本格的な雨になりました。洗面器をひっくり返した程度から始まり、やがてバケツになりました。そうこうする内、雷が空を走り始めました。ガラガラ、ドーン、という音やバシッとストロボみたいな光で、目が痛くなるほどでした。

森は、すっかり秋です。にもかかわらず、木々の葉が色を変える様子が見られません。何となく、だらだらと夏が過ぎ秋になった、という印象です。これは気温が高いためと思います。北海道は、お盆が終わり、八月の下旬には肌寒さを感じます。九月下旬には、朝夕の冷え込みがかなりのものになります。それで、森の落葉樹たちも冬の準備を慌ただしく始めるのです。昨年もそうでしたが、今年も暑い九月でした。そんな気候ですので、ブナたちは「冬の支度を始めて良いのかどうか?」、と大いに迷っているようです。

シマリス君に会いました。林床でガサガサ音がするので、そっと覗いてみると、シマリス君がドングリの実を集めている最中のようでした。夏の間なら、チラッとしか姿を見る機会はないのですが、私の存在など無視しているみたいにウロウロウロ。冬の準備で、人間を構っていられないのでしょう。さすがのササたちも、すっかり勢いが無くなりました。林床が隙間だらけになってきて、どんな草木があるのか良く分かります。やはり、キノコはめちゃくちゃ多いです。適度な気温で、例年より生育条件は良好なのかも知れません。

そんな訳で、今年は絵はがきのような紅葉は、期待できないような予感です。しかし、秋の森の楽しみ方は、沢山あります。だまって樹冠を見ていると、一枚また一枚と葉が落ちてきます。林床をよく見ると、居る居る。色んな種類の昆虫たちが歩き回っています。ブラック、シルバー、ゴールド、紫、光が反射してとても美しい輝きをしています。低木の付けた実の色も、ハッとするものがあります。季節の移ろいを、森全体から、全ての生き物から感じ取るのも楽しみ方です。

これからは、秋雨も多くなります。森の道は、ズルズル状態が続くでしょう。斜面などでは、滑って転倒しやすい季節です。入林される方は、軽登山靴などを履き、怪我の無いようにして下さい。スズメバチが、私の前を横切っていきました。まだ安心できる時期ではないので、慎重に行動して下さい。


2000.09.21
島牧村・賀老高原
高原なので涼しいかと思いきや、意外と気温が高い一日でした。原生林の中を歩いていると、汗が吹き出て、下着が濡れるほどでした。朝、夕は、グッと冷え込むと思いますが。ブナの紅葉には、まだ少し早いです。高所の樹冠の一部に色の変化がありますが、森全体は、くすんだ緑色です。紅葉したカエデの葉が、ちりちりになっていました。今年の紅葉は、色の出方がどうなるか、ちょっと不安でもあります。この季節にしては、暖か過ぎる気がします。それでも木々の落葉が進み、樹冠の隙間は広がっています。明るい森です。

チョウが、大発生しています。ブナの傍をすり抜けようとすると、ワッと沢山のチョウが舞い上がり、私の体の周りを狂ったように飛び交います。羽を広げた状態で、約2cm。色は、ブナの樹肌そっくりです。あちこちのブナの幹をよく見ると、居る居る。いかにもブナの色といった体で、幹にピッタリと貼り付いています。いわゆる保護色を利用して、今の季節に森で活動しています。名前が、分かりません。ブナ林に適応して生活しているものに、ミドリシジミというのが居るそうですが、私が見たのは緑色ではありません。どなたかご存じの方がおりましたら、mailいただけませんでしょうか。

林床には、ブナの果実(ソバグリ)が落ちています。今年の出来はどうかな、と口に入れてみました。何だか、イマイチです。やや甘みが足りないような、気がします。でも初物なので、秋の始まりを実感できました。時折落ちてくるブナの黄色い葉が、まだ緑を保ったコケの上に載っています。見事な色のコントラスト、小さいけれど秋の風景です。ナナカマドの実が、真っ赤になっています。ブナの灰色の幹を背景に、よく目立ちます。

初めて気が付いたのですが、シラカバダケカンバの白い幹が、とても引き立って見えます。光が森の中に沢山入り、幹の陰影を強め、夏には感じない白に見えます。純白に近いですね。賀老の滝駐車場の近くには、カンバの森が広がっていますので、注目してみて下さい。この辺りは、二次林だと思われます。

千走川沿いに、ブナの原生林を歩いてみました。もの凄く大きなミズナラに出会いました。樹高30mは、ありそうです。太さは、一般的には胸高何cmなどと言うのですが、今日会ったやつは林床からいきなりズドンと根を下ろしていて、どこを計っても1m以上あるような感じです。私はその大きさに呆れて、見上げていただけです。正確には分かりません。私がこの森に来るようになって、ご挨拶したミズナラで一番の大きさです。


  2000.09.11
黒松内町・歌才
暑い夏が終わったと思っていたら、もう初秋の森になりました。山全体に、うっすらと黄色が塗られて、秋の雰囲気が漂い始めました。紅葉が、森のあちこちでスタートです。ツタウルシは、一番紅くなっています。イタヤカエデも、高い枝からハラハラと葉を落としています。オオカメノキ、ヤマブドウも色を変え始めました。ホウノキは、虫食いの葉が多く、お世辞にもきれいな紅葉とは言えません。残念です。暑すぎたのが原因かも。

森の中は、とても静かです。ブナはまだ紅葉していませんが、風に煽られたのか葉がずいぶん散策路に落ちていました。しばし立ちつくしていると、樹冠からバサバサ、ボンという音がして、何かが落ちてきました。ミズナラのドングリです。この季節、ブナの枝折れも多いようです。誰もいない森の中で、ギシギシという音が頭上から聞こえます。ふと見上げると、小枝が太い枝に引っかかっています。直撃されないように、気を付けて下さい。

花も、それなりに楽しめます。ツルリンドウが、低木に巻き付いて蕾を付けています。サラシナショウマ(と思います)の白い花が見事。アキノキリンソウは、黄色い花が満開です。そっくりなコガネギクらしきものもあります。その他、イヌタテ゜、ツリフネソウ、シラヤマギクなども見かけました。この時期は、キク科、タデ類、イネ科の植物が多いようです。

今年大発生したクロアゲハが、ササ藪すれすれにヨロヨロしながら、体を左右に振って飛び去っていきました。彼らの活躍する季節も終わったようです。カもほとんどいません。虫たちも冬の準備に入ったようです。これから色鮮やかな時を迎えるのですが、季節が移り変わっていくのを感じると、夏への郷愁もわいてきます。


2000.09.03
島牧村・賀老高原
賀老高原は、晩夏まっ盛りです。エゾゼミの声も、鳥たちのうるさいほどのさえずりも、どこに行ってしまったのか。静かなブナ林の中を、ゆっくり散歩してきました。千走(ちはせ)川の流れだけが、森中に響いています。今年は例年になく悩まされたヌカカ、カ、アブの姿もほとんどありませんでした。虫の嫌いな方には、良い季節です。安心して歩けるでしょう。

真夏の森ですと、やや湿気を含んだ空気が漂っているのですが、今はカラッとした爽やかな風が吹き抜けていきます。ほとんど汗をかくこともなく、足取りも快調でした。森の中で目につくのは、やはりキノコです。林床、腐食したブナの木、年老いて弱った大木の幹、所を選ばす色々なキノコが元気です。草木以上にキノコ類を知らない私ですので、残念ながら見るだけ。美味なものもあるのでしょうね。

雲間から射し込む光が、しっかりと林床までとどくようになりました。と言っても、フ゛ナが落葉しているのではありません。何となく葉全体に勢いが無く、少しずつ樹冠に隙間ができているようです。夕方の斜光線が、ブナの幹を照らしていました。灰色に赤い色がほんのりと乗って、とても美しい一瞬でした。ブナの幹に住んでいる地衣類は、この季節グンと色の濃さを増し、ほとんど黒に近いです。ブナ林に、いっそう落ち着きを増幅させているように感じます。

あと10日もすれば、紅葉が樹種によっては始まるかも知れません。ただ、今年も暑く残暑が続いたので、紅葉の進み具合、その色調など今のところ予想できません。近いうちに「紅葉情報」を書きますので、ご覧下さい。


2000.8.21
黒松内町・歌才
連日続いた暑さも、やっと終わりそうです。ブナ林は、晩夏です。あれほど賑やかだったエゾゼミの鳴き声が、ほとんど聞かれません。林床の落ち葉の上では、いろいろな昆虫たちが忙しそうに動き回っています。今年は、クロアゲハが大量に発生したそうで、ブナ林の中でも、まだかなり姿を見かけます。

カエデ類の一部、ツタウルシが黄葉しています。歌才は、間もなく秋がやって来そうです。ブナの葉は、虫食いや枯れが目立ち、だんだん勢いが無くなってきました。紅葉にはまだまだですけれど。ギンリョウソウモドキが、5から10センチほどに成長しています。昨年よりいくらか早いでしょうか。別名アキノギンリョウソウ、私はこちらの名前の方が好きなのです。同じ腐生植物で、姿形・大きさ・色の全てがよく似ています。

目立たない花がほとんどです。ヤブハギのうすいピンク、ミミコウモリの白い花、キンミズヒキはうすい黄色です。その他、イワミツボ(だと思います)も白い花です。いずれもごくごく小さな花が、穂状になったり鞠状になったりして、精一杯自己主張しています。春の花は、全般に色の鮮やかなものが多いのですが、秋はどうしてひっそりした色になるのでしょうか。ちょっと興味のあることです。

散策路は、この夏の間に成長したササが、すっかり歩道を覆っているところもあります。足を露出したままで歩くと、怪我をするかも知れません。長いパンツに軽登山靴を用意して入林した方が安全です。また、散策路脇に空き缶が捨てられていました。自然に親しむ常識として、ゴミを絶対に捨てないで下さい。


2000.8.15
島牧村・賀老高原
お盆の最終日です。台風の影響か、薄曇りの天気です。空気が湿っぽく、歩くと蒸し暑い一日でした。森の中は、まだ夏真っ最中です。セミたちが、ジージーギーギーと鳴きとおしで頑張っています。とは言え、ほんの少しですが、秋の気配を感じます。ブナたちを始め木は深い緑に身を固めているのに、ツタウルシが紅葉し始めています。あちこちに、キノコが頭を出しています。

今年は、虫が異常に多いような気がします。森の近くに車を止めたとたんに、バンバンバンとぶつかって来るものがいました。大きなアブです。群をなして、車を襲ってきました。森の中には、思ったほどいませんでしたが、ボンヤリとブナの木を見上げていたら、プツリと一刺しやられました。は、例年と変わりません。油断しているとじっくりと血を吸っていきます。今日は、10匹以上征伐しました。スズメバチにも気を付けて下さい。

花は、季節的にあまり目立ちません。エゾアジサイが、まだ咲いていました。うすい紫色が暗い森の中に彩りを添えています。所々に群落を作っているのが、ヨツバヒヨドリだと思います。モンシロチョウ、クロアゲハ、ミツバチなどの昆虫がたくさん集まってきています。その他、チシマアザミも花を咲かし始めています。これからの季節は、目立たない花が咲いてくるので、それらのものを探すのも森の散策の楽しみでしょう。


2000.8.03
黒松内町・歌才
30度、30度、30度、こんな日が続いています。北海道の住人には、とても辛いです。森のの中はと言うと、やっぱり暑いです。少しは涼しさを感じたくて、歌才の森に行ってみましたが、真夏の照りつける太陽の光が、大きな樹冠をすり抜けて林床を明るくしています。悪いことに、風も無い。森全体が、明るいと言うよりは、ギラリ、ギラリとしています。明暗のコントラストがもの凄く、目を細めたくなるような状態です。

でも、アスファルトの上にいるよりはよっぽどマシです。暑さにめげずに、ゆっくりと森を歩くのも良いでしょう。いまの季節、昆虫たちが盛んに活動しています。チョウの仲間はいっぱい目にしました。モンシロチョウ、黒いアゲハチョウ、その他大きいのや小さいのがブナの樹の間を飛び回っています。コバルトブルーの大きな目をした、体長6センチあまりのトンボが悠々と飛んでいました。

セミが交尾をしているのも見ました。そうそう、森の中は、セミの声でいっぱいです。珍しいというか、私は初めて見たのです。命の鎖をつなぐのは、美しくもあり必死の姿でもあり、邪魔をしないようにそっと傍を通り過ぎました。花は、あまり無いです。ノリウツギが、白い花を満開にしています。散策路の縁には、ヤブハギがひっそりと咲いています。ユリ科のオオハギボウシが、咲く寸前です。


2000.7.20
黒松内町・添別
今日も曇りで、時々雨。過ごしやすい一日でした。添別のブナ林は、鳥の鳴き声もほとんど聞こえなくて、本当に静かでした。歌才と比べると、若い樹ばかりなので、ブナ林特有の鬱蒼として感じはありません。幹周りの細い木がいっぱい立っていて、樹冠もあまり大きくありません。全体に、明るくすっきりした森です。

花は、季節の関係もあり、あまり有りません。イチヤクソウが、小さくて白い花を付けています。沢筋に近い散策路では、エゾアジサイが品の良い紫の花を咲かせています。よく見ると、今年の春に芽を出したブナの幼木がたくさん双葉を広げています。思ったよりも、昨年はブナの実がなったようです。

「Fagus Point」のマスター、柳沢さんが「今年は、ブヨが多かった。刺されると一週間ぐらい腫れますからね」と言っていました。私も、目の周りを集団で刺されて、目が開かなくなるほど瞼が膨れました。今は、安心です。の方が、まだマシです。


 2000.7.17
黒松内町・歌才
雨のブナ林を歩いてみました。このところ蒸し暑い日が続いていましたので、久しぶりに気持ちの良い日になりました。頭の上から、サーサーサーという小さな谷を流れるせせらぎのような、爽やかな音がします。樹冠に落ちる雨が、ブナの葉の上ではねているのです。林床にはほとんど雨が落ちてきません。森の中は、傘いらずです。

ますますブナの森は、夏の深みを増しています。濃い緑、林床のササは人の背丈を超えそうなほど大きくなっています。明るく花に彩られる春も良いのですが、何物をも包み込む巨大さを感じるのは、やはり真夏の森です。全てが深いのです。光も音も、人間も、何もかもがこの森の中に封じ込まれているような、大自然の美しさと怖さを感じます。

エゾアジサイは、花の最盛期を越えそうです。今は、オオウバユリが、今にも咲きそうな気配で地面にスックと立っています。かなり大きな花なので、お世辞にも<可憐>とは言えませんね。でも、森の中でブナの迫力に負けない花なのです。可愛らしいものでは、イチヤクソウが蕾を付けていました。白くて、小さい花がなかなかのもの。その他には、たぶんドクダミと思われる、白い花が咲いています。

しばらくの間、これといった花の観賞は出来ませんが、ブナの根元にでも腰を下ろして、じっくりと森の中を見つめるのは如何でしょうか。ささくれ立った気持ちが、落ち着いてきます。下らぬ世俗のことを忘れる一時を、森の全てが与えてくれます。森の空気を皮膚で感じ、深い緑と陰った光の中で過ごしてみて下さい。ブナの葉が奏でる音楽は、ちょっとしたオーケストラです。


2000.7.08
(黒松内町・歌才)
歌才ブナ林も、すっかり夏景色です。ブナの葉は、まるでブラックミントのように黒ずんできました。森の深さ、存在感を体験するには一番良い季節になったようです。大きな樹冠があちこちに出来て、林床はやや暗くなっています。ブヨに代わって、が登場してきました。ブヨのように集団でしつこく追いかけてきませんので、まだマシでしょうか。

今の時期、花はあまり無いです。ツルアジサイも、最盛期を過ぎたようです。しかし、林床にはエゾアジサイが蕾を付けています。来週いっぱいが、見頃でしょうか。ササは、林床をすっかり覆って、森の奥が見えないほどに背を伸ばしています。このササ、日本の固有種なので、時には注目してあげて下さい。

残念なことが、一つあります。散策路の脇に、小さなビニールの袋が落ちていました。何だろうと思って開けてみると、根ごと掘り出された山野草でした。忘れたのか、気が引けて捨てていったのか、「盗掘」には違いありません。歌才ブナ林に限らず、自然を楽しむときにこのような行為は似合いません。
2000.7.07
(島牧村・賀老高原)
雪解けの遅かった賀老高原ですが、季節はトントンと進み、早くもブナたちの色は夏の深い緑になってきました。山菜採りの人たちでワヤワヤとしていた森の中は、今はとても静かです。夏のセミも鳴き始め、のんびりと森の空気を楽しめる季節です。

タニウツギが、ピンクの花を房のように着けています。ツルアジサイを見つめていると、首が痛くなります。ホザキカエデのややクリーム色の花が、ブナ林の中で、華やかな空間を作っていました。昆虫では、クワガタムシがいました。土の中から何年もかけて、やっと大人になったのでしょう。暖かい森の中、ブナの枯れ葉の上をゴソゴソ歩いていました。

ギンリョウソウは、今が見頃です。歌才ブナ林よりもずいぶん遅いのですが、それがいいのです。季節の移りが、ほぼ2-3週間ずれるので、同じ花を二度楽しめます。6月に歌才ブナ林で見損なった方は、ぜひ賀老を訪れてみて下さい。

エゾヘビイチゴ(ノウゴウイチゴ?)が、真っ赤で小さな実を付けていました。食べてみると甘酸っぱいです。食欲のない時には、うってつけの味です。一回分のジャムを作るために、私は山の恵みをいただいてきました。千走川の流れの音が、暑さを和らげてくれますし、 緑のブナ林は最高の時を迎えつつあります。


2000.6.19
(黒松内町・歌才)
しばらくぶりの歌才です。このところ暖かい日が続いた為か、ブナ林の中は、すっかり夏めいてきました。ブナの葉は、浮かぶような緑から落ち着いたそれになりました。今月も下旬となれば、深緑です。林床は、ほとんどの草木が出そろったようです。低木の常緑樹が元気です。

花の最盛期は、過ぎました。しかし、六月のブナ林の定番、ギンリョウソウが咲き始めました。イメージ的には、ひっそりとした姿なのでしょうが、群落になるとなかなか自己主張の強い花です。珍しい生態の花なので、一度はご覧になっていただきたいものです。

その他には、あまり目立つものはありませんが、白い花がちらほら見られます。クルマバソウ、ギンラン(たぶん?)、ミヤマガマズミも白い花を付けています。黄色いものでは、ハナニガナらしきもの。菊科の植物なのは、間違いないです。見落としそうになったのは、高木のブナの、空が透けて見える場所に、ツルアジサイがありました。

鳥たちも、春よりも沢山いるような気がしました。エゾライチョウらしき、ハト程度の体の鳥が、ササ藪 の中から飛び立ちました。ブナの太い幹から幹へと、クマゲラが滑空していきました。滅多にお目にかかれないので、今日は幸運でした。私は、鳥はほとんど分からないのが悔しいのですが、たぶん野鳥観察には良い季節なのでしょう。


 2000.6.06
( 島牧村・賀老高原 )
お待たせいたしました。ついに、賀老高原への林道が、開通しました。昨年よりも、二週間ほど遅れました。先週末から、村の担当者の努力もあり、何とかブナ林に入れるようになったようです。

ただし、ブナ原生林の中は、相変わらず残雪が多いのです。どんな様子かは、このホームページの春の写真(Photo Gallery)を見て下さい。最新のものをアップロードしたところです。昨日(5日)現在、所にもよりますが、30cm近くもあります。雪の上を歩いてみましたが、沢の上には緩んで崩れそうな場所があちこちに。雪があるからと、無闇に散策路をはずれて歩くのは危険です。

それに、やはり原生林の中ですので、油断していると方向を失うこともあります。山菜採りの人たちもかなり訪れてはいますが、危ないです。お気をつけ下さい。最も心配なのは、ヒグマとパッタリ、でしょうか。狩場山周辺は、ヒグマの住処ですので、風景にばかり気を取られず、人間の存在を教えてあげて下さい。一般的に、あちらの方から襲ってくることはありませんので。

ブナの若葉の色、良いですね。空気も澄んでいます。千走川とその支流が、雪解け水を運ぶゴウゴウという音。流れる風は、雪の冷気を含んで首筋の汗をスット拭ってくれます。黒松内・歌才、そして賀老高原、私は二度春を楽しんでいます。


2000.5.31
(島牧村・賀老高原)
国道229号線から賀老高原に登る林道は、まだ正式には開通していません。林道そのものには雪が無いので、賀老高原駐車場には行けるのですが、賀老の滝やブナ原生林には行けない状態でした。雪が解けきらず、散策路は所々しか見えません。一般の方が、入林するには若干の危険があるような気がします。

村役場の話では、今週末にはオープンしたいとのことですが、どうでしょうか。あと一週間後には、大丈夫と思われます。ブナの遺伝子保存林に入る駐車場から見るブナの色は、目を細めたくなるように美しいです。芽吹いてそれほど経っていない、薄く淡い緑に毎年心を洗われます。この季節、ほんの一瞬の輝きなのです。

雪解けの遅い賀老高原ならではの風景。残雪の中に静かに堂々と立つブナたち、芽吹きの緑、それらが絶妙の色バランスなのです。


2000.5.15
(黒松内町・歌才)

周りの山々は、落葉樹の芽吹きで、ふんわりと薄い緑をかぶっています。山全体が、モコモコして見えます。ブナたちも、やっと芽吹きました。といっても、まだ冬芽の殻を振り落としたばかり。小さな葉には、産毛が生えています。まだしばらくの間は、林床 に光がたくさんあります。今は、ブナ林の四季の中でも、最も感動的な一時かも知れません。若葉の淡い緑が、空中をゆっくりと漂い、春の暖かい風に揺られています。

まだまだ、花たちの季節は続きます。カタクリは、最盛期を過ぎましたが、もう少しの間 楽しめます。キクザキイチゲ、ニリンソウの白い花が眩しいです。スミレサイシン、タチツボスミレ、 青紫の花は気品を感じます。エゾエンゴサクも、まだ目を楽しませてくれます。 質素で目立ちたがらないのが、エンレイソウ。オオバナノエンレイソウとは、性格が違うみたいです。歌才のブナ林は、エンレイソウの方が多いです。

個人的に咲くのを待っていたのは、ヒトリシズカです。艶やかさはないのですが、白くて 針のような花は、けなげさを感じさせます。葉は、小さいけれど常緑樹のような深い緑色、これが意外と目立ちます。シラネアオイも、ぼちぼちと。大きな花なのですが、目立たないかも知れません。ブナと相性がいいのが、マイヅルソウです。林床、とくに散策路の周りには、沢山の群落があります。今やっと、つぼみを付けているようです。

今月の下旬あたりからは、あちこちにツルが舞っているでしょう。意味は、分かると思いますが、知らない方は考えてみて下さい。その他、オオカメノキが白い花を咲かせ始めています。ちょっと見た感じは、アジサイの花に似ています。同じ仲間にガマズミというのがあり、間違えそうです。名前を特定するよりは、花の咲いている空間や美しさを素直に感じることの方が大切な気がします。

(島牧村・賀老高原)
国道から賀老高原への林道は、まだ除雪が終わっていないそうです。残念ながら、ブナに会うには、もう少し待ちましょう。はっきりしないのですが、今月の下旬に開通するようですので、その時にはお知らせいたします。


2000/4/29
黒松内町・歌才
日に日に暖かくなっていますが、風がまだ冷たいです。いよいよ、連休のスタート。日本国の大イベントが、始まりました。ヤキモキさせていたブナ林の花たちも、何とか間に合ったようです。散策路に入って右手にある湿原では、ミズバショウが頭を出しきったようです。開花は、これからです。ほんの僅かですが、エゾノリュウキンカの黄色い花もあります。

森の中では、カタクリのピンクの色がひときわ目を引きます。特に、陽の当たる斜面では、見頃になっています。キクザキイチゲも、開花しています。淡い白が、気持ち良いです。意外にも、エゾエンゴサクが足早に花を開いていました。毎年見る紫の花なのですが、花弁が一色ではなくて、先から根本まで微妙な色調の変化があるのです。ブルーが混じっているような、赤が入っているような、言葉にするのが難しい。

エンレイソウが、つぼみを付けています。開花には、もう少しです。あまり目立ちませんが、フッキソウらしき常緑の低木が花を付けています。カタクリは、この数日で満開になりそうな雰囲気ながら、全体としては「花が咲き始めた」状態です。ちょうど連休の真ん中あたりが、森の花畑がにぎやかになるでしょう。

ブナは、まだまだ「芽吹き」にはなりそうもありません。でも、森の中はボーと赤味が増して、ブナが活動を始めているのを感じます。花たちが、ワーと咲き終わりかけた頃から緑の葉を広げるでしょう。暖かい太陽の光を、花たちから奪うようなことをしないのが、ブナの優しいところです。ササたちは、雪の重みから解放されて、ずいぶん頭をもたげています。一週間前と比べると、視界が悪くなりました。

散策路では、ごく一部を除けば、雪はありません。しかし、雪解け水が散策路上を沢のように流れている場所もあります。しばらくは、足下は悪いと思って下さい。安心して歩くには、やはり長靴です。すくなくとも、トレッキングシューズ(軽登山靴)を履いて、入林して下さい。悪路の斜面で滑ったりすると、怪我をしかねません。

ホー、ホケキョ、キョ、キョ、キョーと鳴く、鳥がいました。まだ、喉の調子が良くないのでしょうか。森の奥に、一本だけポツンと生えているトドマツの幼木があります。前から気になっていたのですが、周りはブナばかりなのです。鳥が種を運んできて、芽を出したものと思いますけど、何だか居心地が悪そうです。広葉樹の森の中に、常緑の針葉樹が同居できるのは不思議ですが、北国の森の包容力や豊かさを感じます。


2000/4/23
黒松内町・歌才
やっと北限のブナ林に、春がやってきました。この数日の雨で、雪が急速に解けています。とはいえ、散策路にはまだまだ残雪があります。足下の状況は、非常に悪いです。連休に訪れる方は、長靴を用意したほうが無難です。

散策路入り口を入って、すぐ右手の湿原では、ミズバショウが水の中から姿を現しています。咲いているものもありますが、白い花が眩しくなるにはまだ少し後です。五月に入ると、エゾノリュウキンカと共に、素晴らしい彩りになるでしょう。

ブナたちは、芽吹きの準備をしています。山全体が、ほんのりと赤みを帯びて少しずつ 広葉樹たちが活動を始めました。固い冬芽が、膨らんでいます。芽吹きまで、もうちょっとです。今の時期ですと、ササが寝ころんだままですので、ブナ林全体の様子がよく分かります。夏には見えない、小さな沢や奥のブナの木を眺めることも容易です。

さて皆さんが、おめあてにしている花ですが、今のところ楽しめるほどではありません。 今日はカタクリが、ブナの落葉を押しのけるように、小さな体を一生懸命に伸ばしていました。また、キクザキイチゲが、白い蕾みをつけていました。これは、まもなく開花するでしょう。

私が森に入っていた午前中に、ものすごい雨と強風に見舞われました。太い老木の幹から、雨が滝のようになって流れ落ちてきました。夏のように葉が傘状に生い茂っている時は、よほどの雨でない限り、幹が濡れたり、<雨の滝状態>を見るのは難しいのです。しかしこの季節、葉が無い裸のブナでは、少しの間降るだけで、幹がしっとりと濡れたり、雨の滝を見られます。嬉しかったですね。

今週末、連休の始まる頃にも、新しい情報をアップロードするつもりですので、また読んでみて下さい。今年は、昨年に比べ、季節の移りが遅れています。


2000/3/29
黒松内町・歌才
冬だけのスペシャル散策コースが、危険になってきました。先週後半から、またも大雪に見舞われた黒松内でした。ところが、雪が降り止み今朝がたからどしゃ降りの雨となりました。おかげで、一気に雪解けが始まり、やっと春の雰囲気になってきました。その代わり、朱太川やその小さな支流、そこにつながる沢の周囲の雪もドドーと無くなっています。川の水量は急速に増えて、流れも加速度をつけています。これからは気温が上昇しますので、とくに沢の雪の下は見た目以上に緩んできます。

そんな訳ですので、これからブナ林に入る方は、北側の正規のコースをご利用下さい。雪が残っていても、沢の周りはとても危険、落ちたりすると怪我だけではすみませんので、くれぐれもご注意下さい。

雨が止んだ後のブナ林の中は、水蒸気に満ちあふれていました。雪の表面から水分が蒸発して、モヤモヤと煙が立ち上ってくるのです。山全体に真っ白に水彩絵の具を塗ったような、あるいは山紫水明の日本画を見ているような風景です。春のほんの一時だけ見られる、北国の森の美です。川岸近くのヤナギの仲間は、芽吹きの直前といった様子に見えます。春近し、です。


2000/3/14
黒松内町・歌才
2月下旬から3月上旬にかけて、気温が上がり雪融けが進みました。これで春へ一直 線かと思わせておいて、先週7日から、またもドカ雪が降り続きました。融けた分を越えるぐらい積もってしまい、昨年の同じ日と比べても、2倍はありそうです。

今日は、冬だけのスペシャル散策コースを紹介いたします。歌才ブナ林の散策路は、道道・大成-黒松内線にある駐車場の前を出発し、北から南に向かって進みます。しかし冬だけは、この散策路とは全く反対の、南側から森に入ることが出来ます。

黒松内町市街から来ると、朱太川(黒松内町東部の山間部を源流とし、黒松内低地帯を流れながら、日本海の寿都湾に注ぐ)に架かる貝殻橋を越えて、すぐに右折します。右手に朱太川を見ながら山に向かい1Kmほど進みます。車を止めて、ここからはカンジキに履き替えて、雪原を歩きます。朱太川に沿って北上、600mも歩くとブナが見えてきます。

標高の低い、森への入り口あたりでは、ブナ、ミズナラ、カンバなどがバランスよく混交していて、とても興味深く滅多に見られない森の風景に出会えます。登るに従って、ブナの優占林となります。巨木が多く、見上げると空はブナの枝枝でいっぱいになっています。季節はずれの大雪で、いまだに積雪量は150-200cmはありますが、鳥たちの鳴き声が空の中から聞こえます。ビービービービー、とかピッピッピッピッなどと聞こえるのですが、私には何という鳥か分かりません。

小さな沢があちこちにあります。冬は雪があるので、難なく渡れます。そんなチロチロと水の流れるところでは、フキノトウが大きく膨らんでいます。キタキツネとも、ばったり目が合ってしまいました。例年よりもかなり雪融けが遅れていますが、春は確実に近づいています。でも、雪が多いので、3月下旬まではスペシャル散策コースを使えそうです。ただし、近くには民家がありますので、くれぐれも迷惑にならないようにしましょう。

黒松内町・添別
前回の情報には書かなかったのですが、森の中の数本のブナは今にも芽吹きそうなほどに冬芽が膨らんでいました。何かの間違いじゃないだろうか、と思っていたのです。しかし、「Fagus Point」の柳沢マスターが、「10日に芽吹いているので、びっくりした」と言って写真を見せてくれました。どうしてなのでしょうね、今頃。


2000/2/27  
黒松内町・歌才
大雪が降った後で、かなり積雪はあります。しかし2月も末、気温が上がり、しめった 雪です。 カンジキで入るのがベストですが、想像以上に雪が重いので、歩くのに苦労しそうです。

そろそろクマゲラなどが活動を始めています。夏には歩けない場所まで行けますので、鳥の観察をかねて、ちょっと小高い場所へ行ってみると、思いもかけないブナの巨木に出会えます。

黒松内町・添別

森の状況は、歌才とほぼ同じです。ここは、Fagus Pointという喫茶店(2004年閉店)からすぐに森に入れますので、短時間でブナを見たい人には、うってつけの場所です。地形的には、大小の沢があって、その斜面に生えているブナの姿は、冬ならではの逞しさを感じます。

2月26日には、フクロウがネズミを捕獲して飛び去る、悠々たる姿を観察できました。