天孫神社は、滋賀県大津市にある神社である。
祭神は、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)、国常立尊(くにとこたちのみこと)、大己貴命(おおなむろのみこと)、帯中津日子神(たらしなかつひこのかみ)の四神である。
桓武天皇が、延暦年間(782-806年)に大津に行幸した時、海神にゆかりのある彦火火出見尊を勧請したことに始まるとされる。
元亀年間(1570-73年)に琵琶湖岸から現在地に遷され、大津の鎮守として、皇室、武門の崇敬を集めて栄えてきた。
神社名は、四宮神社又は天孫第四宮大明神と称されたが、明治維新の際に、天孫神社と改称した。
10月に行われる例祭は、大津祭として、湖国三大祭りの一つに数えられる。
JR琵琶湖線大津駅下車、徒歩5分。東側に参拝者用の駐車場がある。(Y.N)
大津祭は、天孫神社の祭礼で、かつては以前の社名から四宮祭と呼ばれていた。
日吉山王祭、長浜曳山祭と並んで、湖国三大祭の一つで、滋賀県の無形民俗文化財に指定されている。
祭礼は、毎年10月の体育の日の前日が本祭り、その前日が宵宮である。
慶長年間(1596-1615年)に、塩売治兵衛が狸面をかぶって四宮馬場で踊ったことから始まったとされている。
寛永15年(1638年)に、京都の祇園祭の鉾を形どった三ツ車の山(西行桜狸山)を建て、安永5年(1776年)には、14基の曳山が揃った。(現在は、13基。)
祭の一番の特色は、それぞれの曳山に仕掛けられたからくり人形である。中国の故事や能、狂言に題材をとっている。
からくりを演じることを所望といい、地元では「しょうもん」と呼んでいる。
本祭りの日は、天孫神社に曳山が集まり、正面鳥居前で鬮改めをしたあと、最初の所望が奉納される。
曳山巡行中、25か所で所望が行われ、併せて厄除け粽も曳山の上から撒かれる。
厄除け粽は、蘇民将来伝説に因む風習で、粽を門前に飾っておくと厄がその家に入ってこないとされている。
曳山(龍門滝山、月宮殿山)には、16世紀のベルギー製のタペストリーを見送り幕に仕立てたものがあり、国の重要文化財に指定されている。
大津祭曳山展示館では、大津町人の経済力と心意気で続けられてきた祭の歴史を見ることが出来る。