多治速比売神社は、堺市南区宮山台にある神社である。
当社は、和泉国大鳥群の延喜式内社二十四座のひとつで、6世紀頃の創建と伝えられている。
明治初年までは、総福寺と併存した神宮寺であったが、神仏分離の際に神社のみになった。
主祭神は、日本武尊の妃の多治速比売命(たじはやひめのみこと)で、素戔嗚尊、菅原道真を併祀している。
安産、縁結び、厄除けの神様として崇敬を集めている。
本殿は国の重要文化財に指定されている。天井裏の墨書などから天文10年(1541年)に再建されたことが判明している。
入母屋造り、檜皮葺で、八つの蟇股と向拝の手狭(たばさみ)に、芭蕉に蟷螂、海藻や貝類などの珍しい彫刻が施されている。
境内には、十三の末社があり、併せて荒山宮(こうぜんのみや)と呼ばれている。
1月6日には、末社の福石社で「福石おこなひの式」と呼ばれる神事が行われる。
板木で作られた御札を柳の枝二本でススキの穂、榊の葉と共に挟み、神前に供える。これを「牛王杖(こうずえ)」と称し、祈祷後家に持ち帰り、苗代田の水口に挿し立てておけば、蝗などの虫害を防ぐことが出来るという農業神事である。
泉北ニュータウンの造成に伴い、当時の社有地の大部分は、住宅公園用地として買収された。神社周辺は、荒山公園となり「花の名所づくり」の一環として約1,300本の梅が植樹され、梅の名所として知られている。
泉北高速鉄道泉が丘駅からバスで宮山台2丁下車徒歩3分。参拝者用の駐車場がある。(Y.N)