太融寺は、大阪市北区にある真言宗高野派の寺院である。
最盛期の寺域は、西は梅田、東は扇町、南は老松町、北は堂山町を結ぶ広大なものであった。
扇町公園がそっくり寺の庭、お堂の合ったところが堂山町、若松が生えていたところが若松町と、町名が寺の境内に由来していることがわかる。
創建は821年で、弘法大師がこの地を訪れた時、樹林の間から異香を放つ霊木を見つけ、これを切って自ら地蔵、毘沙門の二体を刻み、嵯峨天皇の勅願寺として草建した。
本尊の千手千眼観世音菩薩は、天皇の守り本尊といわれる。
845年に、嵯峨天皇の皇子源左大臣融(とおる)公が、ここに七堂伽藍を建立したころから寺勢は栄え、太融寺の町名は融公に由来する。
境内には本堂のほか、淀君の墓所や芭蕉の句碑がある。
地下鉄谷町線東梅田駅から徒歩7分、JR大阪駅から徒歩10分。(Y.N)