櫻井神社は、堺市南区にある神社である。
祭神は、仲哀天皇、応神天皇、神功皇后で、上神谷(にわだに)八幡宮とも呼ばれている。
当社は、延喜式式内社で、中世には、神宮寺の造立もあり、神仏習合の霊場として、近隣の尊崇が厚く隆盛を見た。
天正5年(1577年)、織田信長の根来攻めの兵火に遭い、一時衰退したが、江戸時代に神門、宝蔵などが再建された。
拝殿(国宝)は、鎌倉時代前期の建築で、切妻造、本瓦葺きで、桁行5間、梁間3間で、古い様式の架構である二重虹梁蟇股が見られる。
5間間口の中央1間に、馬道(めどう)とよばれる通路を持つ割拝殿形式の珍しい建物である。
泉北高速鉄道泉ケ丘駅から南海バスで「桜井神社前」下車徒歩1分。(Y.N)
毎年10月第1日曜日の秋祭りに奉納される「上神谷のこおどり」は、中世の風流踊りの影響がうかがえる神事舞踊であり、大阪府の無形民俗文化財に指定されている。
この行事は、雨乞いのため国神社を建てて祈願したところ、雨が降ったことを喜び、人々が踊り始めたことに由来する。
「ヒメコ」と呼ばれる、紙花を数十本挿した竹籠を背負った赤、黒の鬼神と天狗で構成される中踊り4人と、それを取り巻き締太鼓を持つ8人、投頭巾に軍配を持つ新発意(しんぼち)、扇振り、鐘打ち、音頭取りなど計17人の青年で行われる。
堺博物館には、中踊りを踊る4名(赤と黒の鬼神・天狗各2名)がつけるこおどり面が展示されている。
鬼神は、稲作を守護する神霊の化身で、天狗は歌舞の先導役で鬼神を守り助ける存在とされている。
「堺こおどり保存会」がこの行事を後世に伝承する活動を行っている。