紀州東照宮は、和歌山市和歌浦にある神社である。
「和歌の浦には名所がござる。一に権現」とうたわれ、古くから「権現様」の愛称で親しまれている。
その社殿の壮麗なことから、紀州日光、関西日光などと称される。
祭神は、徳川家康と紀州藩初代藩主徳川頼宣で、東照大神、南龍大神として祀られている。
創建は元和7年(1621年)で、徳川頼宣が社殿を造営し、父家康の霊を祀ったのが始まりである。
初め東照大権現と称したが、正保2年(1645年)日光山大権現の改称に伴って現社名に改めた。
大正6年(1917年)に、歴代藩主の崇敬社で藩祖を祭神とする南龍神社を合祀して現在に至っている。
境内は、権現山を含む約6万㎡の広大なもので、本殿、石の間、拝殿、唐門、東西瑞垣、楼門、東西回廊はいずれも国の重要文化財に指定されている。
極彩色の社殿には、左甚五郎の彫刻や狩野、土佐両派の絵画があり、宝物庫には、刀剣類を初め数多くの社宝類が納められている。
JR和歌山駅、南海電車和歌山市駅からバスで「和歌浦口」下車、徒歩8分。(Y.N)
和歌祭は、毎年5月に行われる紀州東照宮の大祭の渡御の呼称で、「紀州の国祭」「天下祭」「権現祭」とも呼ばれている。
元和8年(1622年)、藩祖徳川頼宣が東照宮の大祭として4月と9月に行ったのが始まりである。
それ以降伝承されている祭は、和歌山の伝統芸能が集約されている市内最大の祭典で、摺り鉦太鼓や雑賀踊り、薙刀振りなど60余りの株の渡御行列が神輿とともに練り歩き、数か所設けられた演武ポイントでは、各種目の芸技が披露される。