紫雲山葛井寺は、大阪府藤井寺市にある真言宗仁和寺御室派の寺院である。
西国33ヵ所霊場の第5番札所として知られている。
寺伝によると、百済の王族和仁氏が渡来し、葛井と改姓した一族が氏寺として創建した。
勧進帳によると、当時は2km四方の境内に、東西両塔が備わり七堂伽藍を有していた。
725年に聖武天皇が春日仏師(稽分会、稽首勲)親子に命じて、十一面千手千眼観世音菩薩坐像を造らせ、行基を導師として開眼法要が勤められた。
1096年に大和明日香の藤井安基が伽藍の大修理を行い、これ以降寺は、安基の姓をとり、藤井寺とも呼ばれるようになった。
近世は、豊臣家徳川家の庇護を受け、特に豊臣秀頼が寄進した四脚門は、桃山様式を伝える建築物として、国指定の重要文化財となっている。
本尊の千手観音坐像は、像高1.31m、脱乾漆像の傑作として知られ、大阪府下唯一の天平仏で国宝に指定されている。
秘仏とされているが、8月9日の千日まいりと毎月18日に開扉される。
花山法皇が西国観音霊場を巡礼された際「参るより頼みをかくるふぢい寺 花のうてなに紫の雲」と歌を詠まれた。
法皇は何度も参拝し、本尊に願いを聞き入れられたとき、本尊の眉間から紫雲をくゆらせ、堂前の石灯籠にまでたなびかせたという伝説が残り、山号の紫雲山の由来となっている。
近鉄南大阪線藤井寺駅下車徒歩2分、東側約300mの幹線道路大阪羽曳野線沿いに有料駐車場がある。