連載-ボートデザイン開発編(第4回)
■3章 企画開発および管理 3. 企画開発および管理 3-1企画(例:超高速海上タクシー) 水面効果や水中翼を利用し、乗り心地改善と低燃費で高速走行が可能な超高速 海上タクシーの開発を検討する 3-1-1企画の背景 水上を小型高速で移動する乗り物の需要はあるが実例は極めて少ない。 理由は30KT以上で走行する滑走艇は小波でも乗り心地が悪く燃費も悪いので 海上タクシーの商業化は難しい。 3-1-2企画の解説 水面効果や水中翼を利用し、乗り心地改善と低燃費で高速走行が可能な超高速 海上タクシーの開発を検討する。 ●水面効果翼船とは 水面効果は地表や水面を近く飛行する際に高揚力o高揚抗比が得られる。 水面効果翼船は総じてWIG(Wing In Ground-effect)と呼ばれるが、船舶として 大型化を考慮しWISES (Wing-in-Surface-Effect-Ship)と呼称する場合 もある。 ●水面効果翼船の分類 ラムウィングタイプ:翼面下部を流れる動圧を積極的に利用するタイプ。トンネルフロータイプ:低高度域(IGE)では積極的に水面効果を利用し、 更に高高度域(OGE)では水面効果を使用しないで自由飛行も可能なタイプ。
複合タイプの水面効果翼船:離水までの速度域まではPAR効果やエアク ッション装置を採用した水面効果翼船。
3-1-3企画の課題(技術、経済性、安全性): ●総合的な外観形状の検討: 実用化を目指した研究には実際の乗り物を開発した知見や経験が役立つ。 技術上の裏付けがある魅力ある外観が必要。 ●動力性能の検討: 目標の性能を実現させるには経済性と安全性および環境を重視する。 ●直接運航費、間接運航費、就航率の検討: 採算性を重視し、直接運航費はもちろん保守点検の維持管理(間接運航費)の 把握が重要となる。(採算性を考慮した就航路線の策定や就航率の推定) 検討効果の高い航路 海上空港フ主要都市(中部国際空港フ名古屋都心、中部国際空港フ三重) 海上空港フテーマパーク施設(長崎空港とハウステンボス) 海上空港フ主要地域(長崎フ熊本、鹿児島、関西空港フ神戸空港、 関西空港フ徳島、大分フ愛媛、羽田空港フディズニーランド) ●安全基準の検討 現在の海上交通では水上を200KTで航行する乗り物は想定していない。 安全性を確立するには段階的に実証試験を行いながら問題点を把握して ルール策定や安全装置を開発することが重要。 ●就航航路とモデル開発 就航航路 水面効果翼船の実用化は段階的に開発されるのが望ましい。 無人の実証モデルを制作し可能性を公開する。 実証試験ができる適当な航路で海上タクシーとして運航しデータを取得。
3-1-4モデル開発 モデル1:水面効果がある速度領域で既存の技術で可能な60KTモデル。
モデル2:本格的に水面効果を利用した高速80KTモデル。 本格的に飛行制御と推進装置を開発
モデル3:接岸施設がない地域でも使用可能な高速80KTモデル。 エアクッション装置で砂浜等に上陸
3-1-5水面効果翼船の課題 水面効果翼船の原理は単純で優れているが、水上を航行する船舶としての実用化 には解決すべき技術上の課題や航法の課題も多い。 ●水面からの離水 水面から離水すると水力抵抗がなくなり高速化が容易になるが水面効果は可能 な限り水面近くを航行することが望ましい。 ●水面からの高度をとる必要性 船舶と同じ海域を航行すると通常の船舶を障害物として避けて航行しなけれ ばならず旋回し方向変更や高度を上げる方法を開発する。 荒天時は船体に与える波の衝撃を避けるために必然的に飛行高度を高くし 自由飛行することが必要である。 ●自律航行、制御技術開発: 航空機、船舶、自動車の自動運転、障害物回避などの制御技術を応用 近距離の中小型水面効果翼船はドローンの制御技術を応用(無人化) ●軽量構造設計: 航空機やプレジャーボートのCFRP、FRP、アルミ軽量構造の実績を応用可能。 ●環境対策と動力設計: 持続可能なエネルギーを使用する内燃機関やガスタービン機関の採用。 ハイブリッド仕様として動力に電気モーターや内燃機関を採用。 3-2インテグリティスタンダード(適用法規、目標基準) 実績のない全く新規技術開発では目標基準を想定し、企画の評価(インテグリ ティレポート-integrity report)を明確にすることが重要である。 研究開発では言い訳や逃げ口上は許されない。 3-2-1目標基準(インテグリティスタンダード) 水面効果翼船の実用化に関する官庁等の基準は存在しない。 このようなプロジェクトでは研究開発成果がその後の基準となる可能性がある ことを忘れてはならない。 以下は水面効果翼船開発で仮定する基準だが開発プロセスの成果で基準が修正 され新たな基準の設定が発生するのも当然とする。 ● 一般 開発プロジェクトで使用する用語や定義に関して定める。 (素材の比重、強度、安全率、荷重設定、性能、重量設定他) ●航行制限、 乗り物が航行する際に水面の状態で制限を受けることは当然である。 1.船体の安全性は水面効果翼が始まる速度領域までは高速艇の基準を適用。 2.水面から離昇し自由飛行の速度領域は適当な航空機の基準を適用。 (検討すべき技術:船底衝撃荷重、障害物衝突への対策) ● 機体強度基準 1.水面効果翼が始まる速度領域での機体強度は高速艇の基準で船底衝撃荷重 を重視。(飛行艇の技術資料は参考となる。) 2.想定する機体強度詳細は旅客輸送に供する場合と特殊業務(救難、軍用)で は異なり、旅客輸送に関しては航行制限との兼ね合いを重視する。 海上タクシーでは小型旅客機基準を準用し上下に加わるGの仮定し床や 艤装品の強度を想定する。 ● 操縦性安定性基準 水面効果翼が始まる速度領域では高速艇の基準を準用。 自由飛行では横傾斜、縦傾斜角度を越える操縦は制限する。 (バンクおよびピッチ角の想定) 航行安定は自律安定が原則だが、電子制御による安定も併用する。 ● 振動騒音基準 機内と周辺環境への振動騒音対策は航空機基準を準用。 ● 安全設備基準 船舶安全規則を準用。 ●製造者責任 特別な水面効果翼船運用に適した操船要領書や整備要領書を作成する。 3-2-2開発報告書(インテグリティレポート) プロジェクトでは研究開発報告書作成は重要である。 問題点が発生した場合に原点を明確にすることは次の開発の貴重な情報となる。 3-3開発組織(プロジェクト)の編成(開発技術力の基礎) 開発プロジェクトが成功するにはプロジェクトの組織作りと人材確保および 開発費確保が極めて重要である。 参加するメンバーは担当する専門分野に留まらずプロジェクト全体の進行に 関心と責任を持つ人材を登用するべきだ。 3-3-1人材選抜 人材の選抜は難しく適材適所は原則であるが新規プロジェクトのメンバーは 何よりも研究心と忍耐力が求められる。 出来れば社内公募も有力な手段である。 3-3-3組織編成(役割と人材配置) ●事業管理:事業経営から技術まで理解しているプロジェクト進行の責任者。 ●企画、開発:アイデア力と行動力に優れた技術者が望ましい。 ●営業活動:事業化に熱意のある優秀な営業担当者。 ●製造:新規技術開発に熱意のある職人的技術者。 3-4 標準化 3-4-1 はじめに 高品質で競争力のある船舶を製造するために、造船所(ボートビルダー)は何らか の製造基準を設けている。これらの基準を大別すると企画開発で必要な技術基準、効 率的な製造を行う生産技術基準、商品の品質管理基準などがあり、これらはお互いを 補完する関係がある。事業当初は技術や情報も少なく担当者個人の技量や情報管理に 頼らざるを得ないが事業規模が大きくなり組織が充実すると技術情報、市場情報など を整理し効率的な商品製造が重要となってくる。デザインや設計作業はすべて設計基 準に従って行うわけではない。製造業では資材購入や業務委託などの情報や外部基準 も管理しなければならない。それではどのように基準化するかであるが、商品開発で は常に時勢を把握し最新の情報が求められるのでデザイナーやエンジニアなどの企画 開発部門には使い易い技術基準が身近に有ると効率的である。 3-4-2 標準化の範囲 標準化する範囲は事業全体、営業、技術、製造、営業管理、品質管理など、広範囲 の部門に関係する。何でも標準化すれば効率的であるとは言えないが、最も効果的な 部分から基準化すれば良い。具体的な項目としては営業部門では各種取扱いマニュア ルや説明書、デザインおよびエンジニアリング部門では技術基準、設計製図基準、標 準部品、製造部門では製造基準、生産技術基準、品質管理基準などがある。これらの 基準以外にも標準書式やハンドブックなども含めると多岐に渡るのでこれらの基準に 矛盾が生じないようにするには定期的にこれらの基準をメンテナンスし管理する必要 がある。 3-4-3 標準化の準備 標準や基準を制定するには過去のノウハウや情報を組織内から集約することが必要 であるが、最も情 報量が多いのは設計者であるがすべての情報を集め整理するのは 容易ではない。そこで設計者数人からなる委員会を設け、他社や種々の基準を参考に 雛形を作成することから始める。ここで決めた基準は正式ではなくても開発作業で積 極的に利用しながら修正を加え、適当な時期に制定するのが良い。 ● システム番号付与規定 マリン事業では膨大な情報量が発生する。全ての情報は内容別に番号で表示すれ ば的確に分類できる。これらの分類は標準番号、図面番号、部品番号や各種資料 にも適用される。下記のサンプルは英国のボートビルダーから入手し、筆者が一 部修正して長年使っている仕分けリストである。
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● 図面番号及び部品番号の採り方 アフターサービスを考慮すると船舶の構成部品を図面番号と部品番号で管理する と便利である。部品の仕様は主に図面で表示されるので部品番号は図面番号と共 通であることが多い。以下は筆者が利用している部品番号(図面番号)のサンプ ルである。 図面番号および部品番号の分類(システム優先) 一 般 GENERAL→Gで表示する。 機関関係 MACHINERY→Mで表示する。 構 造 STRUCTURE→Sで表示する。 艤 装 FITTINXGS→Fで表示する。 電気艤装 ELECTRICITY→Eで表示する。 番号の採り方 ◆大区分はシステムに属する関連項目をSYSTEM CLASSIFICATIONの分類方法 に準じて定める。 ◆追番は基準を定めた順に採る。 ◆ページ番号は、同一基準で紙面の枚数が多数ある場合に採るが、1枚だけの 場合は表示しない。 例としては、(1/2)(2/2)で表示する。 ◆追番は01からスタートする。 ◆予備番号は将来、分類の必要が生じた場合に使用するが、通常は0と記入。 ◆サイズ番号はcmを基準にするが10m以上の場合は予備番号を使用する。 ◆改定番号は基準の内容を修正した場合に採る。00からスタートする。
図面番号や部品番号を管理するために、台帳を作成し基準を作成したら必ず番号を登 録すること。
● 標準部品番号の採り方 標準部品は開発艇全体に共通する部品であり、標準部品の使用割合が高いほどコ スト低減ができる。 部品の分類は前述のSYSTEM CLASSIFICATIONに準ずる。 図面番号および部品番号の分類(システム優先) 一 般 GENERAL→Gで表示する。 機関関係 MACHINERY→Mで表示する。 構 造 STRUCTURE→Sで表示する。 艤 装 FITTINXGS→Fで表示する。 電気艤装 ELECTRICITY→Eで表示する。 番号の採り方 ◆大区分はシステムに属する関連項目をSYSTEM CLASSIFICATIONの分類方法 に準じて定める。 ◆追番は基準を定めた順に採る。 ◆ページ番号は、同一基準で紙面の枚数が多数ある場合に採るが、1枚だけの 場合は表示しない。 例としては、(1/2)(2/2)で表示する。 ◆追番は01からスタートする。 ◆予備番号は将来、分類の必要が生じた場合に使用するが、通常は0と記入。 ◆サイズ番号はcmを基準にするが10m以上の場合は予備番号を使用する。 ◆改定番号は基準の内容を修正した場合に採る。00からスタートする。
図面番号や部品番号を管理するために、台帳を作成し基準を作成したら必ず番号を登 録すること。
● 専用部品番号の採り方 専用部品番号は、開発する艇のために設計あるいは選定された部品である。 部品の分類は前述のSYSTEM CLASSIFICATIONに準ずる。 図面番号および部品番号の分類(システム優先) 一 般 GENERAL→Gで表示する。 機関関係 MACHINERY→Mで表示する。 構 造 STRUCTURE→Sで表示する。 艤 装 FITTINXGS→Fで表示する。 電気艤装 ELECTRICITY→Eで表示する。 番号の採り方 ◆大区分はシステムに属する関連項目をSYSTEM CLASSIFICATIONの分類方法 に準じて定める。 ◆追番は基準を定めた順に採る。 ◆ページ番号は、同一基準で紙面の枚数が多数ある場合に採るが、1枚だけの 場合は表示しない。 例としては、(1/2)(2/2)で表示する。 ◆追番は01からスタートする。 ◆予備番号は将来、分類の必要が生じた場合に使用するが、通常は0と記入。 ◆サイズ番号はcmを基準にするが10m以上の場合は予備番号を使用する。 ◆改定番号は基準の内容を修正した場合に採る。00からスタートする。
図面番号や部品番号を管理するために、台帳を作成し基準を作成したら必ず番号を登 録すること。
● 固着釘部品番号の採り方 固着釘部品番号は、開発艇とは関係なく使用する標準部品である。 部品番号の採りかたとしては、固着を示すJを先頭に表示する。 番号の採り方
種類 01 ボルト 02 スクリュー、パンヘッド 03 スクリュー、オーバルヘッド 04 スクリュー、フラットヘッド 05 スクリュー、パンヘッドタッピン 06 スクリュー、オーバルヘッドピン 07 スクリュー、フラットヘッドタッピン 08 ナット 09 ナット、ナイロン 10 ワッシャ、プレーン 11 ワッシャ、プレート 12 ワッシャ、スプリング 13 ロゼット 14 クリング 15 リベット、ブラインド 16 ホースクランプ1 17 ホースクランプ2 18 ホースクランプ3 19 ホースクランプ4 20 ワイヤークランプ 21 ホースクリップ 部品番号を管理するために、番号台帳を作成し基準を作成したら必ず番号を登録する こと。
● パーツ用語集(パーツリストのひな形) プロジェクトでは、多くの情報管理はパーツリストをベースに行われるが、各開発 で新規にパーツリ ストを作成するのは時間を要するので大型艇、中型艇、小型艇で 標準リストを準備しておくと便利である。下表はパーツの名称と意味を解説した大型 艇のサンプルである。
3-4-4 標準化の例(ボート設計標準-Boat Design Standard) マリン事業では種々の基準があり、本稿で全てを記述することはできないが最も基 本となるボート設計基準について以下解説する。 4-4-1 ボート設計標準 ●ボート設計の基本部分及び開発設計で頻度の高い部分について基準とする。 ●設計基準により設計の内容の統一とミスの防止、設計品質の向上をはかり創造 的開発の効率向上に寄与する。 ●基準化の対象範囲 1.設計部門で独自に基準化する部分。 2.設計部門の資料を整理編集し、独自性のある部分。 ●基準を分類する際の留意点 機能分類、設計作業分類は、「舵 (機能)の強度 (設計作業)」の様に分類が難し い場合も多い。しかし混同すると分類が混乱してしまう。 分類は、1つ下位の小区分項目を明確にして、内容を拡大解釈しない方が良い。 基準を分類する際は、次の3条件のいづれかに該当する場合のみ中分類の項目を 使う。 1.下表の中分類項目以外にはどうしても当てはまらない。 2.当てはまらないこともないが共通性が高い。 3.上記1,2の項目に適合するので、どちらかに入れてしまうと検索が難しい。● 標準化の体系 サンプルとして標準化の全体の体系を示す。
● ボート設計標準(基準)の分類表 ボート設計標準(BDS)は各企業によって考え方が異なるが、下表は大規模なマリ ン事業を行う企業での例を示す。
● 設計基準の例 設計基準は一般に公開されることはなく機密であるが、断片的にしか知ることはで きない。サンプルは入手した情報を参考に筆者が作成した設計基準を数例示す。
以下は一般公開に適さないので省略 ● 大型艇の設計標準化 船価が高く生産隻数が少ない大型艇は量産艇と同じ基準や設計手法を適用できない 部分も多く、限定された開発工数を考慮すると大型艇用の設計標準を適用するのが 良い。 ●大型艇の設計標準化を考える背景としては、一定の高額商品市場が存在しマリン 事業の一翼を担うことが期待できることにある。また事業内部では需要に応える には効率的でスピーディな開発と製造が求められることになり標準化の必要性は 高い。 ● 設計上のノウハウを明らかにし、設計力を強化し商品力, 設計技術力,スピードの ある開発力,開発システム力を高めることが期待できる。 ●設計標準は設計手順、設計標準、標準部品、標準図面、実験検査規格、ベカラズ 集などから成る。 ●標準化は実際に使っているか利用率でチェックしメンテナンスで統廃合も必要。
● ボートデザインハンドブック(BDH) 目的 ● 設計者が個別に開発を担当すると組織としての設計情報管理が不明瞭になるの で、体系化するのがボートデザインハンドブック(BDH)である。 ●基礎的な事項は、設計者同士の共有情報を利用し、BDHに記載されない情報は各 設計者の手法による。 ●BDHは情報過多にならないよう整理して情報を共有化するのが良い。 1.遵守すべき基準類の抜粋 2.船舶設計に関して特に必要な基礎的事項 3.統一すべき材料特性値 4.統一すべき、又は推奨される設計手法 5.参考となる文献類のリスト 註)カタログやコストに関する情報は流動性が高いので、BDH には収載しない。 機能 ●BDHは品質管理機能(QC)も持つので、設計者はBDHを遵守する姿勢が重要。 ●開発では設計基準,設計通報,企画通報,設管通報,報告書その他多くの情報源がある のでBDHは単一の部署で内容を変更しない。BDHの審査,発行等の運用管理作業は 管理部門で行ない、BDHの管理実務は関連部署の協力を得た組織がフォロー。 ●BDHの追加発行や差替などは技術通報などで伝達する。 取扱および配布先 ●外部に対し桙ニする。 ●配布対象は、マリン事業部門のアルミ及びFRP舟艇の設計,企画,実験、品質管理の 管理者と特に守秘契約を行った委託外注会社とする。 処理 ●職務を離れる場合、保有しているBDHを技術管理課まで返却する。 ●協力会社や委託設計者へBDHを配布する必要が生じた場合は守秘義務確認誓約書 を締結すること。 目次 01 単 位 ・・・・・01 物理定数及び単位 02 比重一覧表 03 舶用金属のイオン化傾向 02 公 式 ・・・・・01 梁の図表 02 長方形板のたわみと曲げ応力 03 製図基準 ・・・01 設計管理規定類一覧 02 基本番号表 03 溶接記号一覧 04 溶接継手の強度計算 04 法 規 ・・・・ 01 小型船舶関係法令概説 02 船舶関係法令系図 03小型船舶関係法令適用区分一覧図 04船舶安全法JG受検のフローチャート 05 基 準・・・・ 01ボート設計基準分類表 02アルミ船体設計基準 03 FRP船体設計基準 04 アルミ及びFRP船体設計基準解説 05 舵強度基準 06 舵強度計算書 06 基本設計 ・・・01 BHP/W-V/√曲線図 02 水槽試験データフオーマット 03 PROGRAM DATA SHEET 07 軸系 以下略 08 構造、材料・・01 FRP積層構成一覧 02 サントイッチ芯材の物性 以下略 09 リスト ・・・・以下略 10 補強材・・・・以下略 ● 製図基準 近年の製図はCAD化が進み従来の手書き製図の機会は劇的に低下した。しかし、部 品製作や取付組立作業の現場では図面の必要性がなくなることはない。図面には必 要最小限の情報が含まれるべきで基準が必要である。 下記は筆者が作成した例である。 目 次 A.図面・図面表の記入法について 1.図法の統一 1)一角法と三角法 2)図面配置 3)文字 2.積層構成の図面表示法 3.図面個数欄の記入法 4.図面及び図面表の材質欄の記入法 5.図面表の記入法 1)Ass'yおよびコンプリート部品の構成品の記入法 2)図面サイズ欄の記入法 B.図面作図について 1.補強材 2.市販購入品 3.特大艇の図面 4.フリーハンド図 5.構造図 C.略号・記号について 1.ガラス繊維 2.積層の作業名 3.部品名称 4.材料名 D.図面・部品表の記入法について 1.図法統一について 1)一角法と三角法 @部品図は原則として三角法を採用する。ラインズ、一般配置図も同様。 A一般艤装図、一般配置図は一角法とする。 B一角法の時は必ず図面に「一角法」と表示する。 2)図面配置 船首を右とする。(官庁船は逆の場合もある) 3)文字 @部品名はカタカナ、ひらがな及び漢字とする。英語名を並記可。 A注記はひらがな及び漢字とする。 2.積層構成の図面表示法 1)単品図 @断面図を併記する。(フリーハンドでも可) A各部の積層構成を書く。
2)構造図 単品図に準ずる。 3.図面個数欄の記入法 1)単品図 @原則として個数を記入しない。 A適用は専用開発船のみとする。 B改訂は行わない。 2)アセンブリ、コンプリート図 @Ass'y又はコンプリート1セットに必要な個々の部品の個数を記入する。 A1隻に必要なAss'y又はコンプリートの個数は欄外に記入する。 B改訂は必要に応じて実施。 3)艤装図 @1隻分の個数を記入する。 A改訂は必要に応じて実施。 4.図面及び図面表の材質欄の記入法 1)図面の材質欄 @単品図は全て記入する。 AAss'y図、艤装図、構造図、etcは、単品図面のないもののみ材質を記入 する。 2)部品表の材質欄 @開発艇の専用部品(新部品)は、全て記入する。 A専用部品の共用品(既存品)、共通部品、標準部品は、記入不要。 5.部品表(パーツリスト)の記入法 1)アセンブリおよびコンプリート部品の構成品の記入法 @専用艇には、構成品を記入するが、以後の共用艇はAss'y又はコンプリー ト番号のみ記入する。使用箇所毎に構成を記入する。(専用艇) A図面表に構成品を記入する場合Ass'y又はコンプリートの構成品を明確に するために、摘要欄に○○○○○に含む又は○○○○○に一体と記入す る。 2)図面サイズ欄の記入法 @専用部品が新規作成された場合のみ記入。 A共通部品が新規作成された場合のみ記入。 Bサイズ欄の改訂は必要な場合のみ。 6.図面等設計者(担当者)名の記入について 1)サイン書きとする。 2)文字は@漢字AカタカナBひらがなのいずれかとし、明瞭に書くこと。 7.重要保安部品の表示について 重要度欄に「重要保安部品」と記入し、重要事項を図面に指示する。 E.図面作成について 1.補強材 1)図面は多品一葉とし、「補強材一覧図」として作成。 「補強材一覧図」は、材料別に書く。 @合板、木材 Aプラスチック(カット品)Bプラスチック(成型 品)Cアルミ 2)図示方法 @見取図的に書く。A主要寸法、木目方向を記入。B部品番号、部品名 称を記入。 3)標題欄の記入事項 @部品番号A部品名称B主要寸法(L×B×t)、面取り、角C材質D備 考欄 4)部品表の記入法 部品番号・名称・個数 5)型板 @試作で、試作品を作り現物合せチェック後、型板作成 A量産の場合は生産移行時の形状変更及び追加は生産部門で型板を作成 する。 B量産用の型板は、2枚作成する。(1枚は検査用) C図面は生産移行時型板に合わせて原図修正し、出図する。 Dバリエーションで試作しない艇種の型板は、生産部門にて作成する。 6)型板に記入する事項 @部品番号 A部品名称 B材質 C板厚 D枚数 7)改訂 @生産移行後の型板修正が伴う改訂は、改訂通報を発行しない。 A原図修正の伴う改訂の場合は、改訂通報を発行する。 8)「補強材一覧図」の図面番号の取り方 図面番号は設計仕様図として取る。
9)適用範囲 量産艇・全艇に適用。 2.市販購入品 1)原則として承認図を取りよせる。入手できない場合はスケッチ画とし 必要寸法を記入する。 2)図面はかならず出図する。 3)重要保安部品は別途考慮。 3.大型艇の図面 1)大型艇の定義
2)図面 @一般艤装図(右 船首とする)フリーハンド図不可 A一般配置図( 〃 )フリーハンド図不可 B構造図 ( 〃 )フリーハンド図不可 C配管図 フリーハンド図可 D配線図・電路系統図 フリーハンド図可 EAss'y図 フリーハンド図可 3)部品表 @部品表は作成しない。製造仕様書でチェック。 A艤装図には必要部品を記入する。 4)製造仕様書を作成する。 4.フリーハンド図 1)適用範囲 @単体部品図 Aコンプリート図 BAss'y部品等で組立外観を示す図 2)艤装図・配置図・構造図 Ass'y図はフリーハンド不可とする。 配管図はフリーハンドでも可とする。 5.構造図 1)ハル、ハルライナー、デッキ、デッキライナー、フロア等にわける。 ハルを主体とし、相互関連性を失わないようにする。 2)その他(ハードトップ等)は、部品ごとにコンプリート図とする。 F.略号・記号について 下記のものは、略・記号により図面に表示する。 1.ガラス繊維
2.積層の作業名
3.部品名称 @略号は「部品名称略号一覧表」による。 A使用上の注意 略号は原則として名称そのものを示す場合は用いない。 (例)・ベッド、エンジン → ベッド、エンジン(略さない) ・ライナ、エンジンベッド → ライナ、EB ・バルクヘッド → BHD 4.材料名 略号は、「材料名略号一覧表」による。
● 設計承認申請資料(JCI,NK) 船舶検査を受験するには事前に検査に必要な資料が必要であり、検査機関である運 輸局(JG)、小型船舶検査機構(JCI)、日本海事協会(NK)、等は図面他の資料の提出 を求める。求められる資料は検査を受ける船舶により異なる。特に特殊な船舶や新規 開発の船舶は安全を証明する多数の資料を求められることがある。 ●小型船舶検査機構(JCI) 総トン数20トン未満の船舶は求められる資料は比較的少ない。例は量産を前提と する小型船舶の設計資料である。量産型式を取得するには更に多くの資料が必要 である。 1 製 造 仕 様 書 2 一 般 配 置 図 3 中 央 断 面 図 4 機 関 艤 装 図 5 燃料タンク詳細図 6 換 気 計 算 書 7 最大搭載人員計算書 8 最大搭載機関出力の算定 9 ガラス板厚計算書 10 静荷重試験方案書 11 静荷重試験成績書 12 海上試運転成績書 13 浮力計算書 14 コーミング高さ計算書 15 安全性確認試験報告書 16 予備検査成績書 ●日本海事協会(NK) 民間の検査機関である多くの海事協会は独自の検査項目を定めているが、日本では 外国艇を輸入する 場合を除いて特に検査申請をすることはない。例は(株)アル ファクラフトが台湾で建造した53FTモー ターヨットの受験で提出した資料である。 尚、このケースは当時全長12m以上の船舶は小型船舶検査機 構ではなくJG検査が必 要であったので、JGがNKに検査代行を委託する形の検査であった。 1 INSTALLATION OF RUDDER SHAFT 2 RUDDER BLADE 3 G.A. HULL STRUCTURE 1 4 G.A. HULL STRUCTURE 2 5 SECTIONS, HULL STRUCTURE 6 HULL STRUCTURE DETAILS AND REINFORCING 1 7 G.A. ACCOMODATION 1 8 G.A. ACCOMODATION 2 9 G.A. ACCOMODATION 3 10 G.A. ACCOMODATION 4 11 MIDSHIP SECTION 12 GENERALARRANGEMENT 1 13 SHAFT BRACKET ASS'Y LH. RH 14 DETAIL OF LONGI. FRAME 15 DETAIL OF COLLISON BHD 16 DETAILS, BULWARK STIFFENER 17 DETAILS, BONDING DECK TO HULL 18 G.A MACHINERY SYSTEM 19 SHAFTING ARRANGEMENT 20 WIRING DIAGRAM (DC 12V SYSTEM) 21 WIRING DIAGRAM (AC 110V SYSTEM) 22 SEA WATER SYSTEM DIAGRAM 23 FRESH WATER SYSTEM DIAGRAM 24 FUEL SYSTEM DIAGRAM 25 STRENGTH CALCULATION OF SHAFT-BRACKET 26 STRENGTH CALCULATION OF BULWARK STIFFNER 27 STRENGTH CALCULATION OF WATER TIGHT BHD 28 GLASS THICKNESS CALCULATION SHEET 29 G.A. DECK STRUCTURE 1 30 G.A. DECK STRUCTURE 2 31 G.A. LIFE SAVING & FIRE FIGHTING 32 G.A. VENTILATION SYSTEM 33 G.A. REMO-CON. & STEERING SYSTEM (参考提出図面) 35 SKELETON'S 1 1/2, 2 36 SKELETON'S 3, 4 37 SKELETON'S 5, 6 38 SKELETON'S 7, 8