紹介 |
日本語で書かれたものとしては最大級のデンマーク語辞典。収録語数47000語。
わたしはデンマーク語が専門ではなく、他に日本語=デンマーク語辞典も持っていないので、ちゃんとしたレビューは難しいですが、自分なりに。これ以前に出ていた『デンマーク語辞典』は、長らく唯一のデンマーク語=日本語辞典として重要な役割を果たしてきた辞書ですが、かなりコンパクトで、発音記号もついていませんでした。『現代デンマーク語辞典』は、おそらくこれ一冊でかなりの程度の読書・研究に耐えるであろう、日本で初めての本格的なデンマーク語辞典と言えます。わたしは学会の書籍販売コーナーで一目ぼれして、使うあてもないのに買ったのですが、その後、立て続けにアンデルセン論文を二本執筆することになり、ずいぶんとお世話になりました。その意味で、わたしにとってタイムリーだった辞書。デンマーク語があまりできない分、日本語で引ける本格的な辞書の存在はとてもありがたかったです。一つの単語に複数の意味がある場合の記述や熟語の説明が丁寧、例文も豊富で、少なくともアンデルセンを読むのには全く困りませんでした。ちなみに、買った時に大学書林の方にうかがったところ、「現代」は「最新の」という意味で、古い作品にも十分対応可能ということでした。
この本の発端は1961年、大学書林の前社長が矢崎源九郎さんにデンマーク語小辞典の執筆を依頼した時点にさかのぼります。監修の森田貞雄さんとの共著という形だったものが、1995年に福井信子さん・家村睦夫さん・下宮忠雄さんによる全体の書き直しという形で再スタートし、2005年に終了したそうです(入稿は2008年)。50年以上かけて完成した辞書です。日本語とデンマーク語での矢崎さんへの献辞は、50年の間にこの辞書に関わったであろう多くの人も偲ぶものであるように思います。
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