研究調査レポート No.5
2010年1月1日
落葉時の空転抑止操縦法指導のための試運転列車への添乗
09年12月4日芸備線備後落合付近で実施
晩秋の山岳線区でレール上への落葉によって生ずる粘着の低下と空転、さらにはその結果として起きる列車遅延、輸送障害、レール損傷などは各鉄道共通の悩みであります。このようなトラブルが起きるのは沿線民有林が荒廃していることも一因であるため、鉄道だけでこの問題の全てを改善することは極めて困難です。この状況に陥った列車が現場で立ち往生することなく抜け出すための操縦法を関係者に体得してもらうため、JR西日本で筆者が講師を担当している「運転操縦理論セミナー」事務局(JR西日本運輸部・車輌部)では、12月4日に新見~備後落合間に試運転列車を運転し、筆者もこれに参加しました。
当日は備後落合に向かうキハ40型1両編成の試運転列車が東城を定発後、折からの線路上の落葉と前夜からの冷雨の影響で空転が多発し、速度を時として2km/h程度にまで低下させて現場を抜け出すなど、臨場感あふれる試験が各所で繰り広げられました。試験では筆者が従前の試験で得た値を大幅に下回る粘着係数が実測されるなど大変有意義なデータを得ることが出来ました。さらに、このような状況に陥った場合、筆者が従前から提案している操縦法で対処することが極めて有効であることも確認できました。
試験の実施に際してのJR岡山支社、下関総合車輌センター、岡山気動車区、倉敷保線区、新見列車区など関係の方々の尽力に感謝の意を表します。
道後山〜備後落合間でレール上の落葉の状況を確認する関係者
後方は試9448D列車(キハ40型)