当研究室で長年行って来た粘着、列車運転操縦及び滑走に関わる研究で得た知見を運転操縦の現場で活かして頂くために、「望ましい列車操縦方法」と銘打った講習会を平成20年11月から約半年間JR金沢支社の運転士指導者クラスの方々向けに行いました。講義の途上では、倶利伽藍峠に点在する厳しい速度制限箇所通過時の具体的操縦法などについて、JR西日本本社・金沢支社担当乗務員指導監及び金沢総合車両所幹部の方々も講師役に加わって頂き、大変活性化した講習の場となりました。
講義の内容例を挙げると
・曲線通過時の速度過剰低下(アンダーシュート)が到達時分に及ぼす影響とその防止策。
・降雨開始直後の粘着が著しく低下したときのブレーキ扱。
・黄砂が粘着に及ぼす影響
・豪雨がブレーキ力に及ぼす影響
受講生の方々の強い要望を受け、3月10日には講習会の内容を取り入れての運転操縦試験のための試運転列車2往復が金沢-小杉間などで運転され、ベテラン・新進気鋭の運転士の方々がハンドルを握り、腕を競い合いました。当日は上り列車で小杉発車前後に雨が降り始めてM車が連続空転し、黄砂を含んだ降雨の下では3両目M車では平均粘着係数0.08程度に低下することが確認されるなどの貴重なデータも取得しました。
講義最終日の3月17日には、前週行われた試運転列車の操縦に関わる詳細データが指導監から披露され、私がそれについてコメントし、さらには、ハンドルを握った本人が意見を述べるなど授業は大いに盛り上がりました。
試運転の計画及び試運転データ取得・解析を担当された支社及び金沢総合車輌所の方々のご尽力に感謝の意を申し上げます。
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