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2.加工
NO 38-1/2.バイトホルダーの選定

 チップの性能を発揮するには、それを保持するバイトホルダーの構造及びメンテナンス等が重要になります。

1.バイトホルダーの種類
 チップを取り付けるバイトホルダーは、JISのB4125(スローアウェイチップ用ホルダー角シャンク及びカートリッジの呼び記号の付け方)に定めがあります

記号

方  式

方   法

クランプオン式

チップの上面を押さえがねでクランプする方法

クランプオン+ピンロック

クランプオン式及びピンロック式の面拘束二重クランプ

P

ピンロック式二面拘束形

穴付チップを、ピンで二つの側壁に押し付けてクランプする

ねじ止め式

穴付チップをねじによってクランプする方法

ウエッジロック式

穴付チップを、ウエッジでピンに押し付けてクランプする


2.お勧めホルダ
 難削材や重切削する場合、単純なクランプではチップの寿命を縮める場合がありますので、C形とP形を組み合わせたダブルクランプのM形等をお勧めします(下図参照)。
 
※ロックピンでやさしく確実に側壁に押し付け(あまり強く締めない)、上から押さえがねで軽くしっかり確実に(これもあまり強く締めない事)締めます。あまり強く締めるとチップが砕ける場合があります。

このM型ホルダは、他のホルダで言われる加工中のチップのずれ0.01前後と違い、一番チップのずれが少なく、実験では数ミクロン弱に収まるようですので、強く締めなくても十分だと思います。

3.ホルダの役割
 チップの位置決めと確実に拘束する役割は当然として、下図のように切削抵抗をしっかり受けたり、切削で発生する加工熱を逃がす役割もあります。
ホルダもメンテをしっかり行い正しくご使用ください。

切削作用で受ける圧力は、チップ刃先の信頼性向上(刃先不動の維持)のために、敷金とホルダ一体で受け止めます。

    

切削作用で発生する加工熱はチップから敷金へ伝わり、ホルダ本体へ逃がし、チップの温度上昇を低減します。


4.チップ取り付け時の注意
 ホルダは上記のように大切な役割がありますから、正しくチップを取り付けるようにして下さい。
また敷金及び側面に打痕等凹凸ある場合、締め付け時の応力がチップ接触点に集中しますから、変形凹凸がある場合少なくても敷金は新しいものに交換し、側壁はダイヤモンドやすり等で凸部を落として(可能ならホルダを交換)平らにしてから装着する事をお勧めします。

取り付けられた状態

    説    明        

チップと敷金が正しく密着した状態で取り付けられている。

 

×

大事な敷金の角が欠損しているので、チップも欠損する可能性があり、好ましくない状態

 

×

敷金とチップ密着面に切粉等が挟まったり打痕等で浮いている。
切削抵抗を点で受けるので、チップの欠損する場合がある。

加えてドライ加工では、切削熱が空気層で逃げにくくなるので、チップにたまり易い=寿命低下の原因にもなる。

 

×

側壁に切粉又は打痕等で隙間がある。

チップの保持の保障が出来ないばかりでなく、熱が逃げ難くなります。

 

×

チップと敷金の合わせ面が清掃不十分で汚れているので取り付けが不安定になったり、熱が逃げ難くなっている。


※チップを装着する時は、洗浄液(「パーツクリーナー等)で汚れ・液膜等を取り払い、敷板又は側面を滑らかせ指先に伝わる振動に乱れが無いことの確認をする。
正しく密着して滑るとス~という感じになります。異物等があると軽く滑ったりチップがうねるように移動します。

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