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2.加工 
NO 16-2/2.バニシングドリル・リーマの使い方
イ.リーマ
上記2.のエ.のような使い方をすれば下穴がずれていても期待する穴位置に明ける事が出来ますが、ミクロン台の精度を期待するのには無理があります。
 
通常の切削タイプのリーマは食いつき部に勾配があるため、ドリルタイプのように下穴に倣いますが、このバニシングリーマは基本的に勾配のついた食いつき部が無いので求心性は殆どありません。入り口で正確な位置で加工を始めると、自身で案内を作りながら進むので精度の高い穴加工が可能になります。

6.精密な穴を明ける場合の加工プロセス
6.1加工例
例えばφ10(+0.012-0)長さ100(円筒度φ0.004)の要求精度を満足する場合
注 切削液を十分刃先に供給する事。

ア.センタ加工
(次加工の穴位置精度出す事が主たる目的)
イ.下穴をφ8でツイストドリル加工
(仕上げ迄切削熱を持ち込まないように下穴を明ける)
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ここでワークを常温迄下げる事。
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ウ.φ9.5弱のバニシングリーマで中仕上げ
      (ドリルの曲がりを直す)
エ.入り口だけ(深さ2ミリ位)φ9.990~φ10.000ボーリング
      (仕上げリーマのガイド)
オ.φ10+0.006~+0.008のリーマ仕上げ

というようにすれば条件にもよりますが円筒度をφ0.003以内に出すことが出来ます。
※細長い穴の場合は切り込み量にも注意が必要です。少なければいいというものではありません。常に切削抵抗の3分力がどの方向に向くのか予測しなければなりません。

6.2.ツールセット・加工時に注意すること。
ア.刃物先端の振れ
高精度の穴加工では刃先の振れは加工精度に影響を与えます。振れの少ない方が精度の高い加工が可能になります。
※刃物剛性にもよりますが、主軸にATCで装着した状態で0.005以内の振れが望ましい。

イ.刃先先端切れ刃の段差
刃先端面に違いに段があると穴径に影響を与えます。H7穴でしたら0.002以内が望ましい。

ウ.切削熱
硬い金属がせん断するのですから熱が出ます。その熱は金属を膨張させ、加工終わると収縮して穴精度に影響を与えます。精度が要求されるバニシング類の刃物は潤滑の目的で切削液は可欠ですが、冷やすことも重要です。
※十分な切削液の供給をしましょう
 

エ.リーマの使用
高精度の穴加工する場合は、切削抵抗の背分力が小さいリーマの使用が最適。
 
オ.加工穴の肉厚
加工面を押し潰す働きをしながら表面を綺麗に、また穴径を出すので、穴周りの肉厚が少ないと加工中に押し広げられ穴径が小さくなるという不具合が発生します。基本的には加工穴径に対して2割以上の肉厚が必要になります。もし肉厚が確保できない場合はボーリングで加工しましょう。面粗さが必要な場合のみ呼び寸法に対して0.01位小さくしボーリングされた穴にリーマを通せば精度は確保されると思います。

カ.加工条件
バニシングドリル・リーマは周速度毎分50メートル送り一回転0.05位が適当だと思います。穴径が小さいあるいは大きい、又は加工面がいまいちな場合は送り量を調整すれば殆ど解決すると思います。

キ.切削液
切削液は油性と水溶性がありますが各々特徴があります。加工面の綺麗さより以外の穴精度が優先する場合は水溶性で、加工面の面粗さが重要な場合は油性が適当だと思います。ちなみにうちは油性で全て満足させています。
       
コ.すくい角
すくい角度は0度ですので、構成刃先防止の為にも送り量はあまり速く出来ません。せいぜい1回転0.1ミリが限界だと思います。

7.その他の利用
バニシングドリル・リーマは加工条件を最良にする事が出来れば、ボーリング以上の精度が長時間保てます。このような高精度の刃物を1つの穴径だけで使うのは勿体ないので、通常多段の穴加工にも使われています。
 
上図は2つの穴と入り口の面取りですが、数段のものも製作できます。つまり1本のツールで数本分あるいは10本分位が集約できる優れものの刃物です。

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