朝比奈隆/大フィルのブルックナー交響曲第3番

タイトル交響曲第3番二短調
作曲家アントン・ブルックナー
朝比奈隆 指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団
CDPCCL-00471

第三次の全集から。1993年10月の録音。朝比奈には珍しいスタジオ録音である。

朝比奈隆の残したブルックナーの録音は本当に素晴らしいと思う。でもあまり評価しない人もいるのは知っている。精緻さに欠ける、オケが非力等々。音楽の聴き方は人それぞれだから別に構わない。でもそのような人たちに、それでもこれは訊いてみてと言いたいのが2枚あり、一つはN響との8番。これはN響はやはりうまいし、演奏もよいから(4番、9番はあまり良いとは思えない)。もう1枚が(後で書くように実はもう2枚はと言うべきなのだが)この3番である。こちらは完成度ゆえである。

構成、表現何も言うことは無く、特にスケールの大きさが圧倒的である。この演奏を訊いてしまうと、少なくとも私が持っている録音の範囲では他の演奏が退屈に感じる。(唯一何とか比肩できるかなと感じるのがヴァントの1985年のNDRとの演奏)

改定版による演奏である。Niel ShoreさんはBruckner Journalで"This recording is a triumph."であって"best of all the 1889 Thirds I know. "と書いている。しかし、1873年稿(第1稿)は別な音楽ともいえるので区別する意味があるとして、第2稿と第3稿の演奏を区別して評価するのはあまり意味が無い気がする。第2稿絶対支持という人はいるようで、この方もそうなのかも分からない。一般的には”第3稿の中の”という限定は付ける必要が無いと思う。 そもそも1877年稿(第2稿)の演奏ってそんなにあるだろうか。私の手元にあるのを確認しても、当の朝比奈(1977年:エーザー版、1984年:ノヴァークIII/2)以外はマタチッチ/フィルハーモニア(1983)しかない。朝比奈同様ハース版使用が多いヴァントも3番は第3稿を使用している(ケルン放響との1981、NDRとの1985,1992)。1992年盤の添付冊子には第3稿を使って何が悪いんだという言い訳めいた文が載っている(レコード芸術誌のインタビューの再録)。第2稿による録音も調べてみるとそれなりにあるようだが、少なくとも私の食指が動くものはない。

朝比奈隆の改訂版による録音はもう一つあり、1996年の新日フィルとの演奏。こちらはライブである。どちらが良いかというのは甲乙つけがたい。聴くたびに”こちらの方が良い”と思ってしまう。今回大阪フィル版の方を上げたのは、演奏が全体的に新日フィルの方が速い。それは良いのだが、開巻の第一主題がゆったりと出てくる感じだけは絶対に大阪フィル版の方が好きだからだ。

初稿2023/8/7