セーゲルスタム/ヘルシンキフィルの
ラウタヴァーラ交響曲第7番「光の天使」

タイトル交響曲第7番「光の天使」
作曲家エイノユハニ・ラウタヴァーラ
レイフ・セーゲルスタム 指揮
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
CDONDINE ODE869-2

先月(2016年7月)の27日にフィンランドの作曲家エイノユハニ・ラウタヴァーラが87歳で亡くなったとの報がひっそりと伝えられた。

ラウタヴァーラのCDというのはこの一枚しか持っていないし、他の曲も、併録されている「Annunciation(オルガンと金管楽器と交響吹奏楽団のための協奏曲)」しか聞いたことが無い。 この曲もそう頻繁に聞きはしないが、その時の気分ですごくハマるときがあり、そのような時はブルックナーやマーラー以上の大音量でヘッドフォンで聴く。38分の曲なのでそう耳には悪くあるまいと思っている。訃報に接し久しぶりに聴いた。

「神秘的」と強く感じさせる曲である。それもスクリャービンのような怪しさではなく、清らかで幻想的な神秘性である。実は飛行機の機内オーデイオサービスのクラシックの番組で断片的に聴いたのが最初の出会いである。それですぐCDを買った。そのように一聴で引き付けられる強力な個性がある。

この人はWikipediaによると初期はセリー主義に傾倒したとなっているが、1994年のこの作品では、前衛性はあまり感じられず、親しみやすい。構成も、比較的ゆっくりだがドラマチックな第1楽章に、スケルツォ風な(かつエネルギッシュな)第2楽章、いかにも緩徐楽章の第3楽章に、また劇的な第4楽章と古典的である。

またこれだけ強烈に映像を想起させる曲も珍しい。映像と言っても具体的な事物ではなく、神秘的な風景が広がる、抽象的なイメージビデオのようなものだ。この録音は結構ヒットしグラミー賞の候補にもなったというがそのあたりが理由だろうか。38分別世界に浸ることができ、浸った後は何か心が洗われたような感じがする。

「Annunciation」の方はもっと前の1976〜77年の作品で、ずっと実験的で、音でもいろんなことをやってはいるが、曲全体の感じは、「光の天使」から神秘性を取り除いたあたりであり、決して親しみにくくはない。

初稿2016/8/10