タイトル | 交響曲第7番ホ短調 |
作曲家 | グスタフ・マーラー |
演奏 | レナード・バーンスタイン指揮 |
ニューヨーク・フィルハーモニック | |
CD | SONY SICC-10063 |
バーンスタインは2回、共にニューヨーク・フィルで7番を録音している。新録音の方も良いが、私はどちらかと言うと旧録音の方が好きだ。1番、4番、8番は新全集のCDを持っていないが、それ以外については全て旧全集の方が好きである。演奏の練られぶりはどれも新全集の方が圧倒的である。コンセルトヘボウとの9番なんか本当に凄い。(ちなみにベルリン・フィルとのライブ盤は私には何故もてはやされるのか良く分からない)。それでも旧録音の方が好きなのは、旧全集の瑞々しさの方が私にはマーラーにふさわしいように思えるからだ。
第7番は2楽章、4楽章が"Nachtmusik"となっているため日本では「夜の歌」というタイトルが付けられる場合が多い。確かにそう言われると夜の雰囲気があるようには思うが、それは不気味な世界としての夜ではなく、またリュッケルトの詩による歌曲「真夜中に」のような寝床で煩悶する夜でもない。昼間に存在する日常のわずらわしさから開放されたのびやかな世界としての夜である。第2番に対しての第3番のように、第6番で人間くさい苦悩と葛藤を描いた後に、人間のいない心穏やかな世界として第7番があると感じている。第4楽章など夜になって人間の消え去った、月光と花と虫たちの世界であろう。
そう感じる私にとって、クレンペラー/ニューフィルハーモニア(1968)のような重々しい演奏や、テンシュテット/ロンドン・フィル(1980)のようなロマンチックな演奏は全く気に食わない。第3番と同じく自然への愛情に満ちた曲であり、自然や世界への賛歌である。バーンスタインの演奏はそれをとてもよく感じさせる。よく言われる第5楽章の違和感など全くない。
表題にあげたCDはSACDハイブリッド盤で私が持っているものとは違うが、現在第7番の旧録音単体で現役なのはこれだけのようだ。ただし、初回生産限定ということだが、旧全集のBOXセットが安価で出ている。
初稿 | 2013/7/24 |