昭和36年4月1日前の被用者年金加入期間については条件を満たした場合、合算対象期間となることは知られていると思います。ただしそれについて書かれたものが、複雑だったり、きちんと書かれていなかったりして、分かりにくい気がしておりました。根拠法に当たり整理してみました。
(1)昭和36年4月1日において国民年金以外の公的年金に加入または共済組合員、農 林漁業団体職員共済組合の任意継続組合員であれば合算対象期間である (昭60改正法附則8条5項3号、通則法附則2条1項) (2)(1)に該当しない場合も、昭和36年4月1日以降に国民年金以外の公的年金制度 の被保険者若しくは組合員となり、又は国民年金の保険料納付済期間若しくは保険 料免除期間を有するに至つたときは、合算対象期間とする。 (通則法附則2条1項ただし書き) (3)昭和三十六年四月一日から昭和61年3月31日までの間に通算対象期間を有しな いものが、昭和61年4月1日以後に保険料納付済期間又は保険料免除期間を有す るに至つた場合は、合算対象期間とする。 (昭和60年改正法附則8条5項4号) (4)旧船員保険の加入期間は実期間で計算する。(通則法6条2項) (5)(1)(2)において合計して1年に満たない場合は合算対象期間としない。 (通則法6条2項) (6)厚生年金保険と旧船員保険の被保険者の期間は合算できる (昭60改正法附則47条1項) ※(3)についても昭和61年4月1日以降の期間と合計して一年以上であることが必 要と書いているものが多い。これについては根拠不明。昭60改正法附則8条5項 4号では「通算対象期間」という用語ではなく「第二項第一号の第一号厚生年金被 保険者期間」とされており、通則法の制限は受けないものと思われる。何か根拠に なる法令、通達が他にあるのかは今のところ不明。ただし合計一年未満ではもとも と年金の受給資格はなく、どうでも良いことなのでこれ以上追及しない。
(1)昭和36年4月1日まで引き続く組合員期間であって(通則法附則2条2項)それ 以降に引き続く組合員期間と合計して1年以上の場合は(通則法4条1項)は合算 対象期間となる。 (昭60改正法附則8条5項3号) (2)地方共済組合員法は昭和37年12月1日施行なので昭和36年3月31日以前の 組合員期間は存在しない。また「地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施 行法」により組合員期間として組み入れられた期間については合算対象期間とはな らない。 (通則法附則2条4項、5項)
【第4種被保険者、船員任意継続被保険者】 通則法第4条1項では厚生年金保険の被保険者期間、船員保険の被保険者期間につ いては「法令の規定により当該公的年金制度の被保険者又は組合員であつた期間と みなされる期間に係るもの及び法令の規定により当該各号に掲げる期間に算入され る期間を含む」とされている。 従って、以上の総ての説明において、第4種被保険者は厚生年金保険の被保険者(昭 63改正法附則43条、旧厚生年金保険法15条)、船員任意継続被保険者について は昭和61年3月以前は旧船員保険の被保険者(旧船員保険法20条)、昭和61年 4月以降は厚生年金保険の被保険者(昭60改正法附則44条)として扱って良い ものと思われる。ただし経過措置政令等をしらみつぶしに当たった分けではないの で、絶対間違いないと断言するのは保留とする。
初稿 | 2016/3/26 |
追加 | 2016/4/1 |
●第4種被保険者等について |