労災、雇用保険、厚生年金の船員への適用
●労災法(原則適用)
暫定任意適用事業は
船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条に規定する船員を使用して行う船舶所有者の
事業を除く。(失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保
険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(昭和
47年、以降整備令)第17条)
●雇用保険法(原則適用)
暫定任意適用事業は
船員が雇用される事業を除く。(雇用保険法附則2条1項2号)
※附則2条においては船員に「船員法第一条に規定する」という限定が無い。本則
6条での定義がここでも有効かについてはまだ明確な根拠を見つけていない。
●厚生年金保険法(適用事業に適用。それ以外は任意適用)
適用事業は
船員法 (昭和二十二年法律第百号)第一条 に規定する船員として船舶所有者に使用
される者が乗り組む船舶(厚生年金保険法6条1項3号)
従って、三法とも、船員が乗り組む事業は、船員が一人でも
強制適用事業となると見なせる。
従って、船員法で除外される
一 総トン数五トン未満の船舶
二 湖、川又は港のみを航行する船舶
三 政令の定める総トン数三十トン未満の漁船
については船舶ではないので、
・労災法、雇用保険法:常時5人未満(注)のものは暫定任意適用、5人以上は強制適用
(整備令17条、雇用保険法附則2条雇用保険法施行令附則2条)
・厚生年金法:任意適用(厚生年金保険法6条)
となる。
(注)正確には”常時5人以上の労働者を使用する事業以外”
また、
・労災保険、雇用保険では
5人未満かつ5トン未満等が暫定任意適用
5人以上だと無条件で強制適用
・厚生年金法では
5トン未満等だと全て任意適用
5人以上でも5トン未満等だと強制適用にならない
すなわち
労災保険、雇用保険では原則適用→5人未満は暫定任意適用→船員使用を除外
であるから、船員使用事業除外事業は5人未満に限り暫定任意適用となる
厚生年金保険では 適用事業を定義、船員使用は適用事業
なので、船員使用事業除外事業は強制適用事業ではない
【雇用保険法に関する注意】
(1)第6条で
船員法第一条に規定する船員であつても、”漁船(政令で定めるものに限る。)に
乗り組むため雇用される者(一年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を
除く。)”が適用除外になっているので、以下のようになる
総トン数三十トン未満の漁船 →船員ではない→5人未満であれば暫定任意適用
→5人以上なら強制適用
総トン数三十トン以上の漁船 →船員が雇用される事業である
→人数に係らず強制適用
ただし、雇用保険法施行令2条に定められた漁船
に1年未満雇用の船員の場合は適用除外
※政令で定める漁船は雇用保険法施行令2条に定められていて
次に掲げる漁船(特定漁船)”以外”の漁船とされている。
一 漁業法第五十二条第一項の指定漁業を定める政令 第一項第二号 に掲げ
る以西底びき網漁業、同項第三号 に掲げる遠洋底びき網漁業又は同項
第六号 に掲げる小型捕鯨業に従事する漁船
二 専ら漁猟場から漁獲物又はその化製品を運搬する業務に従事する漁船
三 漁業に関する試験、調査、指導、練習又は取締業務に従事する漁船
(2)上記第6条では船員は、派遣船員(船員職業安定法第九十二条第一項)、
船員雇用促進センターの労務供給船員(船員の雇用の促進に関する特別措置法第
十四条第一項)に拡大されている。
初稿 | 2015/1/23 |
追加 | 2016/7/6 |
●特定漁船についての説明 |