合意分割において按分割合が決定されたとき、毎回の標準報酬月額、標準賞与額を改定する改定割合がどのように決定されるかについて説明します。
■法令の参照
文中 法:厚生年金保険法 規則:厚生年金保険法施行規則
●対象期間標準報酬総額(法第78条の3第1項) 対象期間(婚姻していた期間)の標準報酬月額と標準賞与額に対象期間の末日における再評価率を使 用して得た総額 ●按分割合(法78条の2第1項) 年金分割後の、第1号改定と第2号改定者の対象期間標準報酬総額の合計額に対する第2号改定者の 対象期間標準報酬総額の割合 簡単に言うと対象期間に基づく厚生年金の支給額総額に対する、第2号改定者の支給額の割合である。 しかし厚生年金支給額は対象期間の末日で評価される。従ってその後再評価率の改定によりおおよそ の割合としか言えない。 ●按分割合の範囲(法第78条の3第1項) 上限 2分の1以下 下限 第2号改定者の対象期間標準報酬総額/(第1号改定者の対象期間標準報酬総額+第2号改定 者の対象期間標準報酬総額) を超える
●改定割合(法第78条の6) 毎回の標準報酬月額、標準賞与額を分割する割合。 ●標準報酬月額の改定 第1号改定者 標準報酬月額×(1−改定割合) 第2号改定者 標準報酬月額+第1号改定者の標準報酬月額×改定割合 ●標準賞与額の改定 第1号改定者 標準賞与額×(1−改定割合) 第2号改定者 標準賞与額+第1号改定者の標準賞与額×改定割合
改定割合 =A/B A=按分割合−T2/T1×(1−按分割合) B=按分割合+T1’/T1×(1−按分割合) ここで 第1号改定者の対象期間標準報酬総額をT1 第2号改定者の対象期間標準報酬総額をT2 第2号改定者の対象期間標準報酬総額の計算で用いられた再評価率を使って計算した第1号 改定者の対象期間標準報酬総額をT1’とする このように改定割合を定めることで、按分割合が実現することは、次の通りに確認できる。 改定後の第1号改定者の改定後の対象期間標準報酬総額 =(1−改定割合)×T1 =A1 改定後の第2号改定者の改定後の対象期間標準報酬総額 =T2+T1’×改定割合 =A2 改訂割合に { 按分割合−T2/T1×(1−按分割合) }/ { 按分割合+T1’/T1×(1−按分割合) } を入れて整理すると A2/(A1+A2)=按分割合 となる。
初稿 | 2018/6/4 |