脱臼について |
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一般的に知られている脱臼には、肩、肘、あご、股関節、膝、指(手・足)の脱臼があります。
どの脱臼でも問題になるのが、習慣性脱臼くせになる状態)です。脱臼の適切な処置を知るために、脱臼の一般的症状や病態を記します。 |
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脱臼は関節から骨の関節面がはずれることで、関節から骨がはずれると、本来の関節の動きは不能となり固定されてしまいます。
これを弾発固定(弾発抵抗)といいます。この症状が脱臼特有の症状でもあります。
脱臼を生じると同時に、関節を構成する靱帯や軟骨も損傷します。関節を構成する靱帯は、骨と骨を繋いで関節を支持し、関節運動を行うときの支えになります。
また軟骨は、関節の適合性を高める役割がありますので、従って脱臼を整復しても靱帯や軟骨の修復がされないと再脱臼を起こしやすくなります。この再脱臼を予防するには、靱帯や軟骨の修復がされるまで安静固定を行うことが大切です。
脱臼は、臨床上そのはずれかたにより以下のように分類されています。治療法や治療期間などもその状態により変わってきます。
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1.完全脱臼
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完全脱臼とは、関節から骨の関節面が完全にはずれた状態をいい、関節を覆っている関節包靱帯を突き破り関節包の外へ脱臼する場合を関節包外脱臼、関節包の損傷がなく関節包の中で完全脱臼を起こした場合を関節包内脱臼といいます。
関節包外脱臼の方が周囲の靱帯などを損傷しているため固定期間や治療期間が関節包内脱臼よりもかかる場合がほとんどです。関節包内脱臼には、顎関節(あごのかんせつ)脱臼、小児の肘の脱臼(肘内障)、習慣性肩関節脱臼などがあります。
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2.亜脱臼 |
亜脱臼は、関節から骨の関節面がはずれかかった状態で、関節を形成する骨の互いの関節面の一部が接触している場合をいいます。亜脱臼は、主に関節を形成する骨の互いの関節面の適合性が悪い場合(大きさや形が違いすぎるなど)に起こりやすく、比較的先天的問題を有している人に見られます。
亜脱臼は、肩関節、顎関節、膝関節(特に膝蓋骨と大腿骨の関節)、小児の肘の脱臼(肘内障)などに多く見られます。カイロプラクティク等で言われる”ズレ”は、この事を言われます。
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3.陳旧性脱臼
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脱臼を生じた関節を整復しないで放置していると、脱臼位のまま新たな関節を形成してしまいます。こうなると元の関節に戻らなくなり、変形と関節運動障害を残します。このような状態を陳旧性脱臼といいます。陳旧性脱臼は、肩鎖関節脱臼や足指の脱臼、脊椎などで多く見られます。
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症状 |
脱臼を生じると、関節が動かなくなり、激しい痛みが起こります。突き指などで脱臼した際に、安易に引っぱって整復する方もいますが専門知識をもたない人が安易に整復することはよくありません。ときには骨折を伴っていたり、靱帯や軟骨の激しい損傷を合併していることもあります。むやみに引っぱったりせず、患部を固定もしくは支えて速やかに整骨院か整形外科へ受診してください。
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