膝関節について

膝関節を痛められる患者さんの数は非常に多く、体重を支える事と日常生活・スポーツにおいても生活上で稼働率が非常に多い関節です。若年の膝関節疾患と、変形性関節症に分けましてまとめました。

若年における膝の疾患ではスポーツ中のケガが多く見られます。以下の表はスポーツ中の部位ごとの疾患の発症頻度の統計ですが、圧倒的に膝を含む下半身に集中しており、膝関節・大腿が一番多いのです。

膝関節・大腿

約25%

約25%

足関節・下腿

約10%

その他

約40%

原因

スポーツ中にケガをする原因は、過度に使用したためにおこる関節炎。転倒、ジャンプの着地などでバランスをくずした倒れ方でひねったりしたためにおこる半月板損傷や靭帯損傷。直接外部からの力が作用しておこる捻挫・打撲などがあります。下に記す表はスポーツによって膝に発生する疾患の大まかな頻度です。

スポーツ別で見ると頻度の多い順にバスケットボール・ハンドボール・陸上(中長距離)・サッカー等で運動量や、相手との接触の多いスポーツがあげられま
す。
また、学生や社会人などで運動部に所属しているスポーツ選手で18才から20才の若年層が過半数をしめています。

関節構造

膝関節は、体幹(体の中で頭部・手・足を除いたもの)と接地された足部とのちょうど中間にある関節であり、人体関節中最大の関節である。直立歩行を営む人間の膝関節には他の関節に比べ次のような特徴があります。荷重関節(かじゅう)である伸展位(膝が伸びている状態)から屈曲(約140度)まできわめて大きな可動域(動く範囲)をもちます。

半月板 荷重に対する安定性を持っている関節面の適合性を確保している膝の曲がりに対して滑りを良くしています。

靭帯膝の中の大きな靭帯は主に内・外側側副靭帯と前・後十字靭帯の4本これらの支持により通常の動きが保たれていて、左右の横方向の安定に役立っているので、膝関節内・外側側副靭帯は膝を伸ばした時にもっとも緊張する。

前・後十字靭帯は2本が前後にクロスすることにより膝の前後方向に安定に役立っています。

膝蓋骨脱臼・亜脱臼


一般的な統計によると14〜15歳に比較的起こりやすいですが
スポーツをすることにより起こることが最も多いです。

容易に自然に整復されることが多いため病院等にかからず、そのまま放置しておく場合があるようですが、反復し頻繁に脱臼を生じることがあります
膝関節側副靭帯損傷


内側側副靭帯損傷と外側側副靭帯損傷の2種類があります。

内側側副靭帯損傷の方が損傷頻度が高く見られ、前十時靭帯損傷や後十字靭帯損傷・半月板損傷等の損傷も多くみられます。
スポーツを行うことにより起こることが多いです。

前十字靭帯損傷


スポーツ外傷に多い頻度で見られる関節血症が見られる場合が多い関節鏡検査により正確な診断が得られます女性で激しいスポーツを行わない場合はサポータ等で経過を観察する場合もある

後十字靭帯損傷



前十字靭帯損傷より頻度的には少ない
前十字靭帯損傷を合併することがある
半月板損傷

膝の疾患の中でも多い疾患です
膝屈曲位で捻りが加わったときに損傷しやすいので、しゃがんだ姿勢で働く人やスポーツ選手に多く見られる

オスグッド・シュラッター病
中学生・高校生の男子など成長期の子供に多く見られます。
膝のまげ伸ばしを繰り返すと腫れがでるので禁忌とし
特にスポーツの準備運動として、ウサギ跳びを頻繁に行った場合などに生じやすい。
膝の屈伸運動など過激な運動は控え、サポーター等を使用し膝の動きを制限させ,正座等を極力避けるべきです。


変形性膝関節症

正常の膝関節では関節の表面は軟骨で覆われています。弾力性に富んだ組織からなる軟骨は、衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしたりしています。

また、滑膜から分泌され関節は軟骨の成分の1つであるヒアルロン酸を含んだ粘りのある液体で、膝関節がスムースに動く潤滑油と軟骨の栄養の役割を果たしています。

初期の変形性膝関節症では、軽度の関節軟骨の磨耗が生じますが自覚的な症状はほとんどありません。

軟骨の磨耗がある程度すすむと(中期)、膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、歩行時の膝にかかる負担の増加および軟骨、半月板の変性による刺激により関節炎が生じます。

関節炎では、膝を曲げ伸ばししたときの痛み動作時痛や曲げ伸ばしの制限が生じます。また、関節液が多量に分泌されて関節に「みず」がたまること関節水腫)もありますが、関節内のヒアルロン酸は逆に減少します。

進行期の変形性膝関節症では、軟骨の磨耗がさらに進み関節の土台の骨(軟骨下骨:なんこつかこつ)が露出したり骨棘(こつきょく)といった骨そのものの変形が生じたりします。
この状態では、膝を動かしたり立って歩いたりするたびに硬い骨同士が直接ぶつかり合うため強い痛みを生じ、曲げ伸ばしの制限も高度となり日常生活において大きな障害となります。

変形性膝関節症の発生頻度

変形性膝関節症は年齢と共に発生するケースが多いです。
一般の人を対象にした疫学調査では、60歳以上で女性の約40%、男性の約20%がレントゲン上、変形性膝関節症と診断されます。

さらに、この割合は80歳代では女性で60%以上、男性でも50%近くに達します。そして、レントゲン上で変形性膝関節症の所見がある人のうち約20%に膝の痛みや腫れなどの自覚症状が見られます。

また、どの年代でも女性の割合が男性に比べて1.5〜2倍多くなっています。

O脚・肥満の方は要注意
変形性膝関節症の発症・悪化要因について多くの研究が行われています。

これまでのところ女性、肥満、O脚については変形性膝関節症との関係があると言われています。
特に日本人ではもともとO脚の傾向があり、膝の内側により負担がかかりやすくなるため、日本人の変形性膝関節症はその90%ちかくが膝の内側により強い変形が見られます。
症状
日常生活で膝を動かしているときに痛みを感じます。

とくに立ち上がりや歩行時、階段昇降時など膝に体重がかかるときに多く見られ、膝の曲げ伸ばしの制限が生じます。日常生活では膝をピンと伸ばして立つことや正座、しゃがみといった動作がしづらくなりますが、関節炎により多量に産生された関節液が膝関節のなかに貯留した状態です。

中等度以上の関節水腫は関節炎の鎮静化や軟骨の栄養に悪影響を与えるため、関節の外へ排出する必要があります。

膝関節の痛み等でお悩みの方は、早期に整骨院もしくは医療機関に受診されることを、おすすめします。