出発の前日
私は、握手をする事が好きです。今まで多くの方々と出会い、そして様々な経験をさせてもらいました。そんな中で、感動を分かち合った握手、再開の握手、そして出発前の応援の握手・・・。たくさんの思い出があり、それは数え切れない事ですが、同時に幸せな事と思います。その中で、忘れられない握手がありました。

話はある選手からの相談でした。その選手が足を痛められていたことは聞いていましたが、その方から話を聞きレースの復帰を強く希望されていることを聞きました。大きなレース出場の権利獲得も視野に入れ、早期の練習再開を可能にしたい・・・。そして治療が始まりました。

多くのアスリートは、走り込みトレーニングを積み重ね記録を向上させることが、その方のトライアスロンとするならば、私の場合は、その方の3種目に対応する身体の情報を知り最適な方法で最高のコンディションを作る事が、私に命じられたトライアスロンと考えています。そしてその選手も、レースで完走をするトレーニングと同時に痛みと闘うレース、ケガを克服するレースに、私を選んでくださいました。

治療は選手との話し合いを重ね、リハビリメニュー・トレーニング法・栄養学に至るまで、そしてその選手もケガに打ち勝つため、守ってくださり、メールを通じて話し合いました。

ケガは回復をみせてくれました。そして目標大会までは、マラソン大会でも自己の体調管理を守り、コンディションに勤められましたが、その選手にとってもそれは闘いの日々だと思います。しかしコンディションを大事にして、次第にペースは上がってきました。

そして目標レースに出場、権利を習得し本大会へと出場が決定しましたが、出発の前日コンディションに来られましたが、治療が終わり帰られる時、その選手は手を差し伸べてくれました。慌てて私も手をだしましたが、一瞬緊張をしました。
握手を交わした時、一言「行ってきます」と言われました、その言葉に、ケガと闘ったレースが「レース出場」と言う成績を残す事ができ、選手がスタートラインに立て、そしてレースに挑めると言う達成の結果が出た瞬間でした。

そしてレースではさらなる成績を残し、次の大きなレースの出場権利を取りました。

数ヶ月後、その大きなレースの帰りに診療所に、その選手は顔を出してくれました。そして無事レースが終わった事を報告してくれましたが、レース後すぐに寄ってくれた事だけでも、本当にうれしかったです。そして一本のバイクボトルを置いていってくれました。その方が出場したレースのボトルです。

このボトルは、紛れもなく私自身とその選手で痛みと闘った証で、同時にこの大会ボトルがここにあると言うことは、その方がレースに出場できた証です、私は今これを診療所に置き「勲章」にしています。

その選手だけではありません。しおさんのお話しもありましたが、多くの方々から大会記念品・グッズを頂きましたが、本当にこれらは私の宝物であり、痛みと闘ったもう一つのトライアスロンの完走賞です。2004年には宮古島から大会オフィシャルマッサージャーのシャツと帽子を頂きました。

これから何人の人と握手を交わすかは分かりません。しかし、その方が最高の笑顔で私と握手を交わせるよう、私のトライアスロンのトレーニングは、自己の出場するレースに向けたトレーニングと、アスリートの痛みと闘うために、解剖学・治療学を磨くトレーニングを、がんばってゆきたいです!!

一人でも多くのアスリートが最高のレースができ、そして一人でも多くの最高の握手を、交わしたいです。