興奮/ディック・フランシス 1965年 評価:4


 イギリスの競馬界の障害レースで時々ある馬が興奮状態に陥るという不可解なレースが発生。競馬の公平性を保つため、理事会のメンバーはオーストラリアに住む牧場長であるダニエル・ロークに白羽の矢を立てる。ダニエルはイギリスの厩務員になりすまし、真相を探る。

 作者のディック・フランシスは1950年代のイギリス障害レースにおけるトップジョッキーで、エリザベス女王の専属騎手も務めたこともあるという異色の経歴を持つ。その経歴故、競馬を題材としたミステリー作品が数多いのだが、実にしっかりしたプロットと表現力があり、本格的な作家と言える内容。

 ミステリーの肝となる点が、いやいやそんな気長で実験的かつ勝つか逸走かわからない方法ではとても八百長で大金を得られないだろうと現実味はないのだが、本作の主人公であるダニエルはとても魅力的でもあり、ストーリーも硬派で一筋縄ではいかない複雑さを持ち、読み物としては十分面白い。