彼岸花/秋日和/里見弴 1960年 評価:3
小津安二郎の映画の原作(というか、題材)にもなった里見の短編集。小津映画で展開されるセリフの数々の印象に残るフレーズが度々登場する。とは言っても映画としての全体像は明らかに小津と脚本家の野田高梧が作り上げたものなので、「題材にした」というのが正確な言い回しだと思う。まぁ、小津と里見は連帯関係にあったので、そのような状況でも仲は良好だったらしい。
小説としては巧妙なセリフのやり取りは面白いのだが、1文が長くて誰の発言かわからないような部分も多く、正直、読みづらいところは感じてしまう。