テロルの決算/沢木耕太郎 1978年 評価:4
1960年10月に起きた、政党代表放送で演説中の日本社会党党首浅沼稲次郎殺害テロ事件。このテロをたった一人で敢行し、逮捕後少年鑑別所で自殺した17歳の山口二矢(おとや)と浅沼に焦点を当てたノンフィクションの金字塔。
念密な調査に基づく事実の積み上げによって、衝撃的な事件の主役であるテロリスト山口と政治家浅沼の人物像が極めて鮮明に浮き彫りにされている。それぞれをこういう人であったと枠組みに嵌めることなく構築されることにより、二人の純粋な人間像が浮かび上がる。私自身はこの事件を知らなかったが、非常に読み応えのある一冊。