熊を放つ/ジョン・アーヴィング 1968年 評価:2


 オーストリアに住む二人の若者を主人公に、年代物のレーシングバイクで無計画な旅行を行い、最終的に動物園の動物たちを解放するというストーリーのジョン・アーヴィング処女作で村上春樹が翻訳している。

 彼の作品によくみられる、御伽噺的な要素を多く含むという特色はあるのだが、ヨーロッパ作品にありがちな聞きなれない名前が多く、また、登場人物も多いので誰が誰だか混乱する。また、特に前半は時系列、地域別に3つのストーリーが入り乱れる展開であるため、人の区別もストーリーも把握が難しい。才能の片鱗はうかがえるがごちゃごちゃした印象で、作品としての全体評価は低くなる。