クリスティーン/スティーヴン・キング 1983年 評価:4


 ペンシルベニア州に住む高校生デニスの幼馴染で親友のアーニーは気弱でいじめられっ子だったが、ある日、荒れた家の外に止めてあった古い車(プリマス・フューリー)に目を奪われ、持ち主であるルベイという老人から250ドルでその車を購入し、クリスティーンと名付ける。しかし、その日からアーニーの素行は徐々に悪くなり始め、その異変に気付いたデニスはその原因を探るようになる。

 SF/ホラーの名手、ジョン・カーペンター監督で映画化もされたが、映画版はとても評価は低い(未見)。原作は1000ページを超える大作。意志を持ったように無人で動き回るプリマス・フューリーの恐ろしさもさることながら、魂を奪われてしまったアーニーと語り部であるデニスの友情、家族内と諍いと愛情、クリスティーンに憑りつく元所有者の怨念などが丁寧に書かれており、このあたりは単なるホラー作品には決してしないスティーヴン・キングらしい。だからこそ私はこの作家が好きなのだと思う。