戦場にかける橋/ピエール・ブール 1952年 評価:3
第二次世界大戦、1943年のタイとビルマの国境付近にある捕虜収容所を舞台に、日本軍の捕虜となった英国軍兵士と、彼らを強制的に鉄橋の建設に動員する日本人大佐との対立、及びその鉄橋を爆破しようとする英国軍ゲリラ兵の戦略の終着点に至る中で、西洋的軍人の威厳に関する観念や人間としての尊厳と名誉、戦争の惨さを表現した作品。1957年にデヴィッド・リーン監督で映画化された。
イギリス軍兵士への数々の懲罰は、原作者のブールが実際に体験したものとされ、緊迫感があるし、確かに戦時中の日本兵ならさもありなんと納得の描写。日本人が読むと、どうしても日本軍と英国軍捕虜のやり取りを中心に読もうとしてしまうのだが、そこは第三者の視点での描かれ方になっているので、掘り下げ方が浅い感覚を受ける。どちらかというと本作の中心はその鉄橋を爆破するゲリラ的活動をする英軍にあり、そこが日本人の私としては若干物足りなさを感じる点。