偉大なる、しゅららぼん/万城目学 2011年 評価:2
高校入学を機に琵琶湖畔の石走の日出本家に引っ越してきた涼介は、そこに住む本家御曹司の淡十郎とともに高校に通うことになる。日出家は代々、人の心の中に入り込める超能力を持ち、それにより繁栄してきたのだが、ある日、何かの力を持つ高校の校長に淡十郎の父・淡九郎が呪いをかけられ動けなくなってしまう。校長の要求は、「三日以内に日出家の血をひくものは琵琶湖周辺から出ていけ」というものだった。
2024年に6回のノミネートを経て直木賞を受賞した万城目学の6作目の小説で、2014年には映画化もされた。日常を舞台とした非日常の物語で、その文体はライトノベル、内容はファンタジーノベルといった作品。
物語の進行に伴い、主人公たちの持つ超能力の特徴に都合の良い解釈が付け加えられていく感じで、何でもありの展開であることと、その時のシチュエーションや心情でそれはないだろうという信憑性・信頼性のないセリフの数々が、ストーリーの本筋に反して緊迫感が増大していかない大きな原因。良くありがちな現代のライトノベルファン向けの軽い作品。
直木賞受賞ということで多分に文学的要素を期待していたが、その方向で期待するような作家ではないことがわかった。