星への旅/吉村昭 1974年 評価:4
1963年から1971年までに刊行された6編からなる短編集。収録されているのは「鉄橋」「少女架刑」「透明標本」「石の微笑」「星への旅」「白い道」。
最後の「白い道」を除き6,70ページほどの短編は、どれも作者特有の冷徹な視点で描かれているが、フィクションでも特異な観点で描かれており、どれも強烈に印象に残る作品集。
吉村昭と言えば綿密な調査に基づいたノンフィクション作品群が著名であるのだが、個人的により面白いと感じるのはフィクション作品またはフィクション要素の多い作品。本作は個人的にあまり高評価にならない短編集の中ではかなり面白い部類。