夫婦善哉/織田作之助 1946年 評価:3


 森繫久彌、淡島千景主演で映画化(1955)された「夫婦善哉」を始め、その続編であり、作者の死後60年を経過した2007年に発見された「続 夫婦善哉」など、1938年から1946年までに書かれた14編を収録した短編集。

 昭和初期の将棋の異端児、坂田三吉を題材にした二編や自伝的、随筆的な作品も複数あるが、酒や女にだらしなく、といってそれを改める気持ちもない男が主人公で、基本的に大阪を舞台にした作品が多い。それはそれでなかなか風情のあるものなのだが、自分の人生観からはそのような人物に魅かれることはないため、あまり良品とは感じられないというのが正直な感想。映画版も名作の「夫婦善哉」はそれだけを読むのならいい作品なのだが、似たような内容の作品を並らばされるとちょっと辟易してしまうという感じ。

 それと特徴的なところとしては、あまり起承転結がなく物語としての終結をみないで終了というものも多い。