ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女/スティーグ・ラーソン 2005年 評価:5
有名実業家のスキャンダルを暴く記事を書いたものの、それが嵌められた捏造だったために有罪判決を受けた経済雑誌「ミレニアム」の専属ジャーナリストのミカエル。彼は、休職期間中に、大企業グループの元会長であるヘンリックから36年前に失踪した兄の娘であるハリエットの調査を依頼される。スウェーデンを舞台とした犯罪サスペンスで、作者のラーソンは本作3部作のみを執筆後、わずか50歳で急逝。この3部作は世界的ベストセラーを記録している。
舞台となるスウェーデン独特のお国事情と清涼感を感じさせる雰囲気をベースにして、話はいくつかの軸をもってそれらが交わりながら展開。終わったと思ったらまだ先があるという奥深さもある。小柄で少年のようなコミ障の女性リスベットのクールさも魅力的だが、性に奔放だがジャーナリストとしての矜持を持ち、人として至極まっとうなミカエルの人間性にも魅かれる。ほぼすべての要素が高レベルいに揃った作品で、これはベストセラーを記録したのも納得の面白さ。
本作は2011年にダニエル・クレイグとルーニー・マーラ主演で映画化(スウェーデン国内でもそれに先駆けて映画化)されており、この二人がはまり役で原作の面白さを決して損なっていない。