あなたの人生の物語/テッド・チャン 2002年 評価:3


 映画「メッセージ」の原作(かなり脚色されているが)ともなった表題作を始め、1990年から2002年までに発表した8篇の短編(チャン自身は短編しか発表していない)を収録した作品。

 この作者の作品の特徴は、今の人間社会を土台としつつ、超現実的なある部分で現代ではありえないことが受け入れられている世界をベースにしていること。その超現実的な部分を中心にした物語に好き嫌いは生じると思われ、私自身はあんまり合わないかなという感じ。あと、作者自身が理系なので、結構難解な理論構成が組み入れられていることも特徴的で、この点にも好き嫌いは生じるだろう。

 映画化された表題作以外にも、人間世界に時折天使が舞い降りて人間に幸と不幸を気まぐれにまき散らし、それに翻弄される人間たちを描いた「地獄とは神の不在なり」も映画化したら面白いと思う。まぁ、神の存在をちゃかしているようなものなので無理か。