種の起源/チャールズ・ダーウィン 1859年 評価:2


 生物の進化の過程を、膨大な研究、他の学者の研究成果や彼らとのやりとりにより、体系立てて取りまとめた生物学書。

 刊行当時は創造主がすべての生き物を創造したというキリスト教に基づくデタラメも甚だしい説が信じられていた時代にあって、本書の内容を発表するのは勇気がいっただろうと思う。しかし、当時から同じような考えを持っていた学者は多かったようで、ダーウィンも用意周到に本書を推敲している。

 何しろ学術書なので生物学に興味がある人ならいざ知らず、内容的にはかなり難解なところも多く、読み進めるのが困難。一方で、ダーウィンが人間的にもできた、一流の学者であることがわかる。彼は自分の学説にも欠点があること、今だ証明されていないことがあることも正直に認めている。その上でどう考えることが自然なのかを延々と力説しており、当時、高倍率の顕微鏡も、プレートテクトニクスも、遺伝子の存在すらもわかっていなかった時代において唱えた内容が、科学の進歩の中でほぼほぼ記載の通り証明されたことに驚愕する。ほぼほぼ真実が解明された現代においても非常に興味深い理論的な学術書。

 因みに「人はサルから進化した」という記述は本書にはなく、またその言葉の内容はダーウィンの説とも異なる。ダーウィンは生き物は大昔のある種から延々と進化を遂げてきて、サルは分岐後の種であってサルが進化して人間になることはない。