ゴッドファーザー/マリオ・プーゾ 1969年 評価:5
名作映画「ゴッドファーザー」の原作であり、大ベストセラーを記録。
コルレオーネファミリーの大歌手ジョニー・フォンテーンと、長男ソニーの愛人だったルーシー・マンチニの物語、そしてマイケルの忠実な部下となるアル・ネリの、部下になるまでの経緯が映画版では端折られているが、映画版は著者のプーゾ自身が脚色したこともあって、本作を忠実に映像化したことがわかる。
本作の内容は、「ゴッドファーザー」と同じタイムスパンと、ヴィトーの若かりし頃(映画では「パートⅡ」でデ・ニーロが演じた部分)が描かれているのだが、映画版が完璧なため、どうしても映画のイメージを持って読み進めることになる。一番違うのはヴィトーの外見かな。ジョニーとルーシーのパートは本筋との関係が浅いので端折ったのは正解だと思う。ちなみにルーシーはソニーの子供を産んでいないので、「パートⅢ」のソニーとルーシーの息子という設定のヴィンセントは本作には登場しない。
映画は3時間近くあって丁寧に物語を紡いでいくので、なんだか映画を小説化した作品のように感じてしまうのだが、この小説のほうが先に出版されているのだし、その前提となれば、魅力あるドン・ヴィトー、マフィア世界の描き方などの小説題材に加え、ストーリーテリングも絶妙で確かに名作と言えるものだと思う。