第三の時効/横山秀夫 2003年 評価:5
F県警強行犯捜査組織を舞台にした中編集。一編約70ページほどで6編が収められている。横山秀夫は元新聞記者なので、新聞記者目線からの描写や、実際の警察の内部事情などを描いていることが特徴的。
捜査課の中の三つの班の班長がそれぞれ優秀で、その個性が際立っており、各班長の下で働く部下や、一方で個人行動で動きがちな各班をまとめる課長などの管理職の苦悩など、各中編の中で手際よくまとめられている。殺人事件を扱うものだから、もちろんなぞ解きの要素もあり、それもなかなかの切れ味なのだが、単純に謎解きだけで終わらない面白さもある。短・中編集としては出色の出来。