輪廻の蛇/ロバート・A・ハインライン 1982年 評価:4
1941年から1960年に発表された、中編1作と短編5作からなる、SFの巨匠ハインラインの作品集。
中編となる「ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業」は人間社会は別世界の生き物が作り上げた世界であり、人間の姿をした観察者がどの時代も評価をし、存続させる意味がない社会であれば壊滅させることもできるという内容。今の世情は、このようなことを本当に外部からやってもらわないと世界はどんどん悪くなるという状態であり、ちょっと現代にも通じるなかなか奥深い含蓄がある。それゆえにちょっと落ちは弱いが。
短編の「輪廻の蛇」は2014年にイーサン・ホーク主演で映画化された、時空を超えたタイムパラドックスもの。ほんの30ページほどの作品なのだが、これは映画化が良くできていて、原作に忠実に筋をなぞりながら付属のストーリーをうまくつけている。小説も映画も良くできている好例。それ以外の短編は普通の出来。