論語物語/下村湖人 1938年 評価:3
紀元前500年ごろを生きた、儒教の生みの親である孔子の所業を後に弟子たちがまとめた「論語」の一部をわかりやすく物語調にし、刊行から長きにわたり名著として親しまれている作品。
確かに、聖人と呼ばれる孔子の志高い思想は素晴らしいとは思うのだが、何分、2500年も前の時代がベースなため、現代に置き換えてその生き方を実践することはとてもできない。その時代だからこそ思想に生きることができたのであって、その生き方を今の模範にはできず、やはり現代においてのより良い生き方を示唆してくれるような、少なくとも近代の名著の方が心に響くのは致し方ない。
しかし、「論語」に書き表されているような儒教の思想をお持ちのはずの例の大国の人々の現状はとても孔子の思想とはかけ離れているように思われ、孔子などが生きた時代の思想はいったいどこに行ったのか?と思わずにいられない。