「ジゴロとジゴレット モーム傑作選」/サマセット・モーム 2015年 評価:4


 短編も数多く残した、「人間の絆」「月と六ペンス」のサマセット・モームの八編からなる短編集。それぞれの執筆年はわからないが、一番脂ののっていた1920年代頃かと思う

 世界各地に駐在(諜報員だった)、旅行に出ていたモームらしく、描かれる国も登場人物の国籍も多岐にわたる。それぞれが50ページほどの作品なのだが、不可思議ですべてを理解することなど到底不可能な人間という生物を、否定も肯定もせずに、大きな、暖かい目で見た筆致はモーム独特のもので、あまり短編集は好きではない私でも惹き込まれる内容。