勝ちスイッチ/井上尚弥 2019年 評価:4


 日本史上最強ボクサーである井上尚弥が、2019年11月7日のWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)決勝で5階級制覇のレジェンド、ノニト・ドネアと戦う前までに本人自らが綴ったエッセイ集。

 井上の生い立ち、家族との絆、ボクシングに対する姿勢、そしてなにより、実際の試合で井上自身がその1秒1秒の中で考えていることが赤裸々に記されており、ボクシング好きはもちろん、そうでなくても非常に興味深いと思う。

 井上は非常な常識人だし、冷静に自分自身を分析することができる。それだからこそ、ボクシングスタイルだけで人を惹きつけられる選手なのだろうし、しばらくは井上がどこまで登りつけるのか見守り、応援したくなる。自分に対する厳しさ、人生観、地道な努力など、教訓として生かせるエピソードもたくさんあり、青春時代を生きている人間でなくても、読み応えのある一冊。