少年間諜(スパイ)X13号 冒険小説集/山本周五郎 2019年 評価:1
「さぶ」など、人情味あふれる作風の山本周五郎が、第二次世界大戦前の1930年代後半に、少年向け雑誌に連載した8編からなる冒険小説集。
内容は、小学生・中学生程度の卓越した能力を持つ少年スパイ(というより戦闘員)が世界中の戦場で大活躍するというもの。ご都合主義の007シリーズ(特にピアース・ブロスナン時代)に更に輪をかけたような甘々な内容で、どんなに相手が強力でも投げ飛ばし、敵の弾丸には当たらず、敵国の美少女スパイとちょっとした恋愛があったりという戦争万歳的な、戦時中の高揚小説以外の何物でもない。
この時代の周五郎は全く評価をされていないのも納得の、特に読むに値しない作品。