蒼き狼/井上靖 1960年 評価:3
1200年代初頭にモンゴル帝国を統合し、最大時にはロシアからアラブ、中国の領土を征服したチンギスカンの生涯を追った作品。
遊牧民族のモンゴルを統治し、その後もどこまでも征服と略奪、虐殺を繰り返したモンゴルの英雄だが、その征服に明け暮れた人生の裏には何があったのか。モンゴル人種の起源を掘り下げ、そこを解明しようと作者は努める。結果、チンギスカンの生涯は良くわかるのだが、1冊、約400ページに収めるにはあまりに話が壮大すぎた。後半はストーリーを追うことに忙しく性急な感じがしてしまう。馴染みのない名前は繰り返しある程度の説明と共に出てくるため、あまりとっつきにくさはない。