ツァラトゥストラはこう言った/ニーチェ 1885年 評価:1


 隠遁生活を送っていたツァラトゥストラは何かに覚醒し、人の住む所に舞い戻った。彼は、人は意思の力で人を超える超人になるべしという教え(たぶん)を軸に、人々に説教を始める。

 ツァラトゥストラにとにかく魅力がない。説教するのは勝手だが、難しい言葉ばかりを並べてほぼ意味不明(人並み以上に読書をする私がこう思うのだから、大方の人はそう感じるだろう)で、人類全体に対して敵対心をあらわにする内容。人格が、市井の人に対する理解、優しさ、思いやりというものを全く欠くために、その説教の内容に共感できるところもほとんどない。物語といえるものもなく、延々と説教だけが続き、同じような言いたいことをただ繰り返すだけ。読み進めるのが苦痛で、4部あるうちの2部まで読んでギブアップ。

 こんな内容を評価できるのは孤高の哲学者か、ニーチェを読んでいることにステイタスを感じ(もっと端的に言えば、そのことを人に言って感心してもらう)、内容をわかったふりをするつまらないプリテンダーだけだと思う。