ケインとアベル/ジェフリー・アーチャー 1979年 評価:2
ポーランドの貴族の隠し子として生まれたアベルは第一次世界大戦の混乱を経てアメリカに入国。その後ホテル王として名をとどろかせる存在となる。一方、アベルと同じ日にアメリカの銀行頭取の息子として生まれたケインは天才の名をほしいままにし、父を超えるスピード出世で銀行頭取となる。アメリカの黎明期を背景にこの二人の人生を交錯させて描いた作品
壮大だが、二人の物語は出来物語のように予想に違わぬレールの上をなぞるだけだし、60年ほどの長い歴史を逐一たどっていくため、その描かれる年月に対してのページ数(約1000ページ)は十分ではなく、登場人物の魅力が十分に感じられない。ストーリーを追うことに重点が置かれ、予想される流れ、結末にしかならず、人物にも感情移入できないため、あぁそうですか、という感想しか残らない。