ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎 2007年 評価:4
伊坂の4作目、「重力ピエロ」(2003年)があまりに現実とかけ離れた会話からなる小説で、限りなく評価1に近い作品とこき下ろして以降、彼の作品を読もうという気は全く起こらなかったし、期待もしていなかったのだが、2010年に映画化もされているのでそこそこ有名な作品だし、ビートルズの「アビーロード」に収録された「ゴールデンスランバー」が引用されていることも知っていたので、無料で手に入れられたこともあり、読んでみた次第。
仙台出身の首相が、仙台市内のパレード中に暗殺される。ちょうどその時、友人に呼び出されてその場にいた青柳は、全く身に覚えがないまま暗殺犯として警察に追われることになるが、旧友などの助けを得ながらなんとか逃げ延びる。
「重力ピエロ」にあった非現実的な会話はかなり影を潜め、気にならない程度まで落ち着いた。ストーリー展開にはかなり無理なところや映画じみたところが散見されるが、元々文学としてではなく、楽しく読もうという意識から読みはじめた小説なので、その点では十分合格点である。展開はスピーディだし娯楽作品としてよくできていると思う。