金閣寺/三島由紀夫 1956年 評価:2
1950年に実際に放火されて全焼した金閣寺。その事件を題材(放火犯の生い立ちなど基本的に忠実)に、三島由紀夫が犯人の精神構造、放火に至った経緯をち密に構築した文学的に名高い作品。
構築力の凄さ、場面場面で色鮮やかなインパクトを与える描写など、文学として間違いなく傑作であるが、一人の人間が、行動を起こすのにそこまで深く考え、またその考えを口に出して友人と話すものか?という現実離れしたところをどうしても感じてしまい、また精神的にゆがんだ登場人物が多いためその思想自体が非常に難解で、理解しがたい部分も多いため、小説としては楽しめないというのが、凡庸な私の正直な感想である。